小説「少し不思議なカレーの物語」

タケナカリーさんの「少し不思議なカレーの物語」を読みました。
先日発売されると同時にAmazonで売り切れて、やっと一昨日買えるようになった。
都内に実在する3店舗のインド料理店およびそれらの店の店主たちが準主人公となって個性全開で生き生きとページの上で踊る。
そのうちの1店舗が、大森ケララの風モーニングなのです!
おぢさんはかなり重要なキーパーソンとして、数十ページにわたり描かれていました。本物のおぢさんとほぼ変わらないキャラで登場してるから、全くもって我々常連にとっては不思議な感覚。
おぢさんはある意味、時を操る魔術師として登場していた。「おぢさん、そんな特殊能力があったの!?」と、次回会ったとき真顔で尋ねてしまいそうなほどリアル😆
ちょうど先日、Amazonで「恋はデジャヴ」を見たばかりだったので、ひょっとしてこれはよくあることなのかもと錯覚してしまう。
内容はカレーとスパイスを軸に展開する小説なのですが、スパイスとか特に興味なくても面白キョーレツキャラのおぢさんたちと、バチクソ仕事人のクリエーターさんたちが出てくる面白い話として読めます。
普段はカレー関係のお仕事をなさっているタケナカリーさんですが、寧ろ、スパイスやカレーの説明は極限まで削るように努めたのではと思われます。押し付けがましくない。
冒頭の40ページがあまりにも決定的に現実的で、会社社会、上下関係、2023年を生きるクリエーターの実在をしみじみと感じた上でのカレー屋への展開が見事でスペクタクル。
繊細なまでにリアルな部分と、奇想天外なSF展開のブレンドが見事で、まるでカレーのスパイスの調合のようにバランスよく心地よいです。
いつの間にかアクの強い登場人物のひとりひとりに感情移入してしまい、次はどうなるのかとページを捲る手が止まらない。久しぶりに本を一気読みしました。
割と登場人物は多いほうだけれども、誰一人としてキャラがかぶらなくて印象的。実在の人物が登場しているというのもあるけれど、それ以外の人もみんな本当にいる人のように思えて仕方ない。
カレー、スパイス、会社の人間関係、SF、沼尻さんに興味のある方にお薦めの小説です。
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