フセインシェフのお店が大森にできたと知ったのは、今年2022年7月のことでした。
異常に美味しそうな北インド料理の写真が、わたしのインスタのフィードに流れ始めたのです! 今年最大の話題の新店て書いてあるーー。
シェフのプロフィールを読んだら、タージ、アジャンタ、シターラの総料理長を務めてらしたと書いてある。
するってえと、わたしは30年以上前からフセインシェフのお料理を美味しい美味しいと言って食べてきたことになる。どなたが作っていたのかも知らずに。
特に品川のシターラにはよく行った。そこは半オープンキッチンにシェフのお姿が見えて、ガラス越しにいつも口パクでご挨拶したものです。
お写真を見たときに、「あ!品川シターラのシェフだ!」と思った。そっれは美味しいに決まってるの巻。
なんとなく行きそびれて、やっと10月になって行きました。平日ランチタイム。17時までやってて嬉しいね!(ラストオーダー16:30)
でも17時からディナーだから、ほぼ通し営業よね。ありがたいことです。
場所は大森駅近の商業ビル「ラズ大森」の3階。図書館、出張所、ダイソー、セブンイレブンなど入っていて小綺麗なビルです。入りにくさゼロ。
エスカレーターで3階に行くと、焼肉醍醐(ここも美味しい)のお隣にありました。
宮廷料理のお店だけあって、内装も落ち着いた色合いながらゴージャスです。テーブルが広くて、椅子も座りやすく、とても明るい雰囲気。
平日のせいか、 お客さんは仕事途中っぽい一人客が多かった。わたしもひとり。
ホールは日本人の店員さんが多くて、キッチンはインド人の料理人さんが何人か見えた。フセインシェフをチラッと目撃。勝手にテンション上がる。
オーダーは口頭でもできるし、モバイルオーダーにも対応している。試しにやってみたけど簡単。
今日はBランチにした。選べるカレー2種類とバスマティライス、シークカバブ、チキンティッカ、パパド、ミニスイーツ、サラダ、玉ねぎアチャール、スープ、ドリンクつきで1628円。めっちゃ良心的ですね。
最初にマトンのスープがきた。はあああ、美味しい。さめざめと美味しい。ただの液体で既にこの感動。ヤバイ。
カレーはスパイシーチキンとダールタルカー(豆)を選んだ。
「最適な辛さに調理しております。申し訳ありませんが辛さの調整はできません」とメニューに記されている。そうでしょうよ。こんなに美味しい料理は調整できない。
スパイシーチキンを一口食べて思った。どっひゃー久しぶりにマジで本格的な北インド料理キターーーー!っと。
この久しぶりというのは、わたしが大学生の頃にインド料理を食べ始めて、20代の終わりぐらいまでに体験した各名店のオリジナリティ溢れる味に初めて触れた興奮を思い起こさせるような感覚だったのです。
あーもう今日は話が長くなりそうだ。既になってるし。暇な人だけ読んでくださいね。
そうそう、まさにその頃ね、赤坂タージや麹町アジャンタに行って腰抜かしてたわけです。こんな高貴で美味なるものがあるのかと。
当時のわたしが好きだったお店はもうほとんど残ってないんだけど、高円寺のスターラとか、池袋東武百貨店のレストランフロアにあったインド料理屋さんとか(名前思い出せず)、本当に美味しくて超個性的だったのよね。
容赦なくシェフのコンセプトが立ってるレストラン。これがなかなかあるようでない。マシャールは間違いなくそっち系。何もかも味がバッチーーーンとキマってる。
ランチでこれならば、夜はどうなってしまうんだろう。恐ろしい。早く行かねば。
話がだいぶ逸れた。スパイシーチキン最高でした。結構ちゃんと辛い。辛いけど意味がある。味、深み、スパイスのエッジの立ち方。開く方へ向かう味と、包み込む方へと向かう味の拮抗。その見事なバランス。
フセインシェフがレジェンダリーと呼ばれるのは、経歴ってだけじゃなくて、この奥深い味を見事に表す表現者だからこそだと思う。
ダールタルカーも辛味を含んでいつつ、とにかくモコモコしてて優しい。豆豆しい豆の味が口の中で膨張する。実際の量よりも質的な量感が大きい。いいもの食べた感じがすごくする。
シークカバブも歴然と格の高さを感じさせる味。しっとりと互いに密着した肉と肉の間に、スパイスが生き生きと侵入している。このプリプリの食感はシークカバブ界でも稀有な存在。
チキンティッカはドライな辛味を効かせた粋な味。 表面にベタベタ感がないのがかっこいい。しかしお味はしっかり浸透している。焼き過ぎない絶妙な焼き加減をもってして、チキンの味をしっかり残しつつスパイス料理としての特性を生かしている。
またバスマティライスの炊き加減が抜群で、香り良くサラサラ。米粒が輝いている。
ドリンクはラッシーを選んだ。このラッシーの味も一味違う。サラッとした飲み心地。軽くスパイスを効かせて後味をスッキリさせている。よくある「これはただの飲むヨーグルトなのでは?」みたいなのとは違うやつ。
あまりにも美味しかったので、デザートも食べてみたくなった。メニューを見ると、クルフィーザサフラーニがあった。
クルフィーも難しい料理だ。美味しい店がほとんどない。しかしちゃんとして作ったクルフィーほど美味しいものはない。
結果として大正解! こんな美味しいクルフィーは何十年ぶりだろう。しっかりとサフランの風味がして、煮詰めたミルクにナッツの風味がバランスよく加わっている。最高。最高オブ最高。
一緒に頼んだチャイも、スパイスをちゃんと煮た作りたてのチャイでした。
余は満足じゃ。大森に新たな宮廷ができて喜ばしい限り。
それにしても、南インド料理のレジェンドと呼ばれるケララの風モーニングと、北インド料理のレジェンドと呼ばれるマシャールが同じ大森にあるのも不思議なお話しですね。
長文におつきあいありがとうございました。
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