中目黒の川沿いにあるイタリア料理店、カシーナ カナミッラに行ってきました。
こちらのお店のコンセプトは、ピエモンテ地方の郷土料理をベースに、日本でしかできないイタリア料理を発信していくこと。
なるほど、肉も魚も野菜も、調味料も食器も、日本ならではの要素がいっぱい!お箸もあります。でもちゃんとイタリア料理になっている。このセンス、ただものではないですね。
桜の季節にはご馳走を食べながら窓越しにお花見ができる絶好のロケーションのレストランてことで、皆さんそういうお店が中目黒にあることを聞いたことがあるかもしれません。
わたしはスターバックスロースタリーに行く道すがら偶然見つけて、「ここがあのカシーナカナミッラか!いつか行きたい!」と思っていました。
「あの」というのは、あのお花見で有名なというのと、イルテアトリーノダサローネの山口智也シェフが以前こちらでお仕事してらしたという二つの意味で。山口シェフのファンなんだもの。
カシーナカナミッラの岡野健介シェフは、山口シェフとイタリア修行時代からのお付き合いなんだそうです。
彼らがその頃イタリアで、仕事終わりにいつも一緒に食べていた美味しいクレーシャ屋さんのクレーシャ(クレープみたいなもの)を再現したものを、今だけ(2020/3/12まで)特別に販売中なんですよ。一個千円。数量限定要予約。
更に、レストランの味をそのまま自宅で味わえるアニョロッティ(ラビオリみたいなもの)も買えます。冷凍品ワンセット1500円。こちらは通販も可。それを買いに来ました。
せっかくなんで、ディナーをいただくことに。9品のフィオリータディナーコース(10000円)を選択。
本日のメニューはこちら。
アレスコンポヨ
クレーシャ
鰆 菜の花 バナナの葉
雉のブロード もちきび 野菜のボッリートミスト
スカンピ カルチョーフィ グアンチャーレ
コンキリエ 漢方和牛のミートソース 九条ネギ トリュフ
鴨 ラディッキオ 味噌
アニョロッティ ダル プリン
スパゲッティ アル ポモドーロ(追加注文)
ハッサク パンナコッタ ケッパー
ハワワワワワワ‥‥美味っしい!!!! 久しぶりに、心から美味しいと思えるお店に出会えました。それなりに食べ歩いていて年に一度出会えるか出会えないかレベル。本気で感動。
なんとも不思議なお料理で、食べた瞬間は口と心にスッとなじみ、全身がその料理と一体化するかのように自然な融合感。しっかりと一皿を味わったあとに湧き出す、奥深い感動と満足。いいお料理を食べたぞ!!という満たされ感がハンパない。
なんというか、胃袋のもっと更に奥底まで響くような味わいなのです。これはシェフの人間力によるものでしょうね。料理って、人格がモロに出るから。
岡野シェフとは今日知り合ったばかりで、そんなに長時間話したわけじゃないし、シェフの性格や生き様まではまだわからない。しかし何よりもこの料理が彼の素晴らしさを語っている。ブラボー!
加えてこの立地と雰囲気とサービス。圧倒的。外観のオシャレさ豪華さにまず驚き、店内のスタイリッシュかつ温かな雰囲気に癒され、ソムリエ氏とサービスマン氏の心のこもった接客に心が躍る。
シェフを含めて3人とも、非常に良い意味で人間らしさを感じる。こういう空気感は計算だけではできないものですよね。
さてさて、最初にいただいたのがこちら。アレスコンポヨ。シェフのお生まれがベネズエラということで、そちら方面のお料理です。チキンを煮たものを中心に、野菜やペーストとともにクラッカー的なものにはさんだもの。見た目より肉肉しくジュワジュワと旨みが出てくる。その肉の旨みと各野菜の滋味が重なり、予想以上に口内調味の醍醐味を感じてしまった。この小さな一口で、このようなドラマチックな展開があるとは。
クレーシャはお持ち帰り分とは別の一口サイズ。クレープ生地の上にアツアツのモッツアレラとトマトが乗ってる。この生地がパイのように何層かに重なっていて、甘くない塩味。思ったより柔らかい。口の中にチーズとトマトの熱が広がるほどに旨くなる。またこれもドラマだ。すごいな。
鰆 菜の花 バナナの葉は、バナナの葉に包まれた竹炭ソースまみれの鰆を、溶かしバターのソースが絡まった菜の花とともにいただく品。バナナの葉包みってかなり南インド料理を彷彿とさせますけど、スパイスは入ってないんで味わいは日本的。鰆を最大限生かす味。バナナの葉効果で魚が柔らかくホワホワなおかつしっとりプリプリになってる点はインドに並ぶ。
この鰆に合う台湾茶をカップリングで飲ませてもらいました。ここのお店は料理に合うお茶のセレクトにも相当念が入ってます。
確かにこのお茶を飲むと、料理の味がまた一段階深いところまで届く。相性がいいだけでなく、この組み合わせでなければ引き出せない味が新たに出てくる感じ。ワインではそういうことはよくあるのかもしれない。下戸のわたしは知らなかった世界。大発見です。
このお茶自体が非常に高品質で、香りと味の余韻が驚くほど長く続く。花のような、枯れ葉のような趣深さ。
雉のブロード もちきび 野菜のボッリートミストは、もちきびのモチモチ、野菜のサクサク、ムニムニ、カリカリといった食感とサウンドの重なりが楽しい。そこへドボドボと注ぎ込まれる雉のブロート。うんまっ!!!! 動物性の出汁の極み。キジってこんなにいい出汁が出るのか。
スカンピ カルチョーフィ グアンチャーレは、手長海老にカリッと焼いたパンチェッタが乗ってて、ゴボウのペーストとアーティチョークの素揚げが添えられたもの。見た目だけではないのよ。この皿のすべてが必然。なんという美味しい組み合わせ。最初にパクッと一口で食べたスカンピの味が、後半にアーティチョークやペーストを食べている間にも続いていたのが不思議。
コンキリエ 漢方和牛のミートソース 九条ネギ トリュフは、貝殻の形のパスタにミートソースと九条ネギとトリュフをバンバンかけたもの。どうなんですかこの気前の良さ。美味しすぎて無言になります。まあ一人で来たんで基本ずっと無言なんですけどね!笑
鴨 ラディッキオ 味噌は本日のメイン。鴨キターーー! 届いた瞬間、見た目と香りで悩殺された。これは絶対美味しいやつや。胸肉ともも肉。まずは胸肉から。うは!やば!うま! どうしてこんなにみずみずしく柔らかく、なおかつしっかりとした弾力があって肉の味が濃いのかなー。美味しいなあ。もも肉に至ってはもう極楽行き。アーッこの皮の下の脂身の上品なコクよ。噛むほどに味わいを増す猛烈な肉の旨み。塩の味ではなく、肉の味自体が持つパンチ力がものすごい。ノックアウトされし。
アニョロッティ ダル プリンは岡野シェフのスペシャリテ。お持ち帰り分も頼んだやつ。15種類の具材をまぜてパスタ生地に包んでいる。15種類の中身を見分けるほどの実力はわたしにはありませんが、一言で言って最高。超絶美味しい! お肉と野菜の味がバランス良く凝縮されている。そんでこのソースがまた死ぬほど美味しい。どっちも美味しくてクラクラする。お持ち帰り分を買っておいて良かったー。少なくともあと2回この幸福を家で味わえる。
追加注文で、スパゲッティ アル ポモドーロを80gお願いした。グラム数は選べる。わたしは80gにしてちょうど良かったな。このポモドーロ、トマトの酸味と甘みのバランスが良く100点です!
ハッサク パンナコッタ ケッパーは、濃厚に生クリーミーなパンナコッタに生のはっさくが隠れていて、真ん中に焼き菓子のチャルダがはさまってる。これも素晴らしい。こんなに濃厚で高品質感のあるパンナコッタは初めて。ハッサクの甘酸っぱさと、チャルダのコンガリ感のアクセントも効果的。
お食事前になんの気なしに食べたグリッシーニまでもがハッとする美味しさでした。色んな種類が入ってる。わたしはハーブ入りのパスタ生地を揚げたようなやつが一番好きだな。
最後は小さなお菓子と温かいミルクティーでマッタリ。この時間にお店の方たちと少しお話をさせていただきました。一人でレストランに行くと、お店の方たちが話し相手になってくださることがあって嬉しい。よく、一人ではレストランに行きにくいという人がいるけど、わたしはむしろ一人で行くのが好き。もちろん友人たちと行くのも楽しいですけどね。
小さなお菓子の中に金柑があった。懐かしい味。金柑を食べたのは何年ぶりかなあ。昔、うちの庭にあったことを思い出す。勝手に食べるとおじいちゃんに怒られるから、あんまり食べられなかったよ。
お持ち帰りセットを用意していただき、シェフと記念撮影。岡野シェフはイケメンという意味でも有名なんですよ。思わぬ撮影サービスに感激❤️
何もかもが素晴らしく、絶対また来ようと思いましたし、味にうるさい友人たちを連れて来たいと思いました。お前らを黙らせるぜ。
価格帯的に高級ですが、食後感からすると、「なんか安くないですか??」という印象。
これを書いているうちにおなかが空いて、クレーシャを温めて食べてしまいました。家で食べても美味しい!!! レストランの味そのまま。
サルシッチャとほうれん草、チーズがパツンパツンに入っています。パイのような生地が本当にいい味だし、具材は当然ながらレストラン品質。こんなの絶対どこにも売ってません。買うべき。わたしもまた買いに行きたいなー。3月12日までですよ。すぐに買いに行ける中目黒の人が羨ましい。
というわけで、ここは超絶オススメ店。今年のわたしのMVPはこちらになることでしょう。まだ3月だけど決定!
#イタリアン