新感線メタルマクベスdisk1の感想。
豊洲のIHIステージアラウンド東京で新感線の「メタルマクベスdisk1」を鑑賞しました。脚本 宮藤官九郎、演出 いのうえひでのり。
客席が360°回転する劇場って! そんなのあるの知らなかった。その回転を生かし切る、すんごいスケール感の大きいお芝居でした。
テーマパークのアトラクションの中でヘビメタのコンサートを観ているような迫力。最新の3D映画の中に飛び込んでしまったような臨場感あふれる美術。国内最高峰クラスの俳優さんたちが、本気でたましいを込めて踊り歌い叫び嘆くエンターテイメント性。どう考えても最高です。
音楽がミュージシャンによる本物の生演奏なのもビックリした! これが上手いんだな。誰だったんだろう?? マジでヘビメタのライブですよ。
役者さんたちはメタルっぽく歌う人もあれば、ミュージカル路線の人もいれば、アイドル的な人もいた。それぞれに面白いし、超絶上手い。しかも全力疾走で走って踊って殺陣を切りながら、全く乱れなく歌うんだよ。みんな超人だね。
客席が回転するって聞いたときは、「場面転換ごとに90度ずつ横に回っていくのかな?」ぐらいに思っていました。ところがどっこい、そんな甘っちょろいもんじゃなかったですぜ。
客席の回転は速度と揺れを微調整しながら、バイクや人の疾走感を体感させたり、GoPro的な動く鳥瞰図を臨場体験させたり、巨大な城の中をエレベーターに乗って移動したり、映像を駆使して城壁をよじ登り、人が落下するさまを生々しく表現したり、回転劇場の無限の可能性を発見させてもらえました。
観ているだけで体にGがかかる感覚。生理的快感が強い。特にバイクの疾走感は格別。本当にある程度の速度を出して飛ばしている感覚が掴めるのです。カッコイイ。
しかも横へだけじゃなく、舞台の奥に向かって疾走するシーンまでリアリティ抜群で、「一体これはどうやって作ってるんだい!?」と衝撃を受けました。
ちなみにバイクは無臭でした。電気式なのかな? 昔はサーカスのバイクだとかってガソリンくさかったよね。
わたしのお目当ての西岡徳馬さんは、王様の役。途中で芸能プロダクションの社長に変身するシーンがあった。どちらの役も唸るほど芝居が素晴らしい。
社長がパーティーで挨拶するだけの短いシーンで、どうしてあんなに場の空気が熱くなるのか。こんな社長がいたらみんな騙されちゃうよなあっていうアクの強さ。
そして王様のド迫力の存在感。大きく見せる芝居じゃなくて、存在そのものが完全に壮大。それでありながら、複雑繊細な感情の流れをありありと表現する演技力に心を掴まれる。特に前半ラストのシーンは気持ちが脳内にダイレクトに伝わってきてグワングワンした。
わたしが徳馬さんのお芝居を好きなのは、こんなふうに脳内にエモーションが雪崩れ込んでくる感覚が、どうにも快楽が強くてたまらないからっていうところがある。それだけじゃないけど、そんな芝居ができる人はほかにいないんだよね。
わたしはヘビメタが特に好きなわけでもないし、何か色々パロディがてんこ盛りだったようだけど、残念ながらよくわからなかった。しかしそんなことはどうでもいいぐらい楽しかった。
前半2時間、休憩20分、後半2時間。かなりの長丁場です。お尻は痛くなりそうでありつつ、気持ち的には快楽の続く4時間でした。昔、歌舞伎座通いで鍛えたからこれぐらいは平気なのら〜。
今日はすごく良いお席だった。深く感謝です! そして最前列で友だちが観ているのを偶然発見!(笑)声かけたかった。人の流れに押し流されて無理だったわ。今度は一緒に観に行きたいね。
既存の枠では捉えきれない舞台を観ることができた。余は満足じゃ。ゆりかもめに「市場前」なんて駅があるの初めて知った。店が一軒もない。雨降らなくて良かった。
#メタルマクベス
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