ナイルレストランのムルギーランチ。
英会話レッスンのあと、ボンヤリ歩いて東銀座に流れ着いた。
おお、ナイルレストランて懐かしい。大学時代、歌舞伎座に月10回ぐらい通っていた。たまの贅沢にナイルレストランに寄ったものです。
千円以上ともなると、芝居好きの大学生には、おいそれと手を出せない値段。お隣の洋食レストラン早川のほうが数百円安い。もっと節約するなら木村家でパンを二個ぐらい買えばいい。そういうせめぎ合いがあった。
あれから数十年。現在のムルギーランチの値段は1500円。チキンカレーと考えると、今でも高価な部類でしょう。
しかし銀座のこの場所で、およそ70年の歴史を誇る文化の味として、かつまた実際の味の良さ、素材の良さ、サービスと雰囲気込みで、この値段ならおつりが来ますよ。
いつのまにか二階ができていて、内装もインドっぽくてきれいになっていた。「二階ができたのは20年前よ」と、番頭のラジャンさんが他のお客さんに言っていた。
席に座ると、ムルギーランチで良いかとすぐさま聞かれるのは昔と同じ。今日は変化球で、「定番のでいい?」と聞かれた。もちろんOKです! それと、マンゴージュースも。
マンゴージュースは濃厚でドロドロしてるほど。味は甘すぎなくてちょうどいい。
10分ほどで、ムルギーランチが来た。番頭さんがナイフで鶏もも肉の骨を器用に取ってくれる。非常に柔らかく煮込んであり、スルスルと抜ける。
お子様ランチのように丸くよそられたイエローライスは日本米。岩手産いわてっこを使用しているとホームページに書いてある。
チキンは地鶏もも肉を7時間煮込んでいるそうだ。ブラボー!
更に、軽く煮たキャベツと、ターメリック色のマッシュポテトが乗っている。
ジャンル的に南インド料理店なんだけど、わたしの知ってる南インド料理とちがう。もちろんそれが悪いわけなどなく、むしろ素晴らしい。だってこのマッシュポテト最高にカレーと合ってます!
「よく混ぜて食べてね」と必ず言われる。「混ぜれば混ぜるほど美味しい!」と、力強いお言葉。
わたしは前半軽く混ぜて、後半よく混ぜる。どちらも美味しい。
しっとりした鶏肉と、サラッとした中に深いコクのあるカレーソース。わたしの感覚では中辛ぐらい。汗をかくほど辛くはない。食べ終わると口の中がピリッとする。
辛さはともかくとして、スパイスのバランスに個性を感じる。どことなく日本になじむ、おかず風味の味。日本米によく合うように調整したんだろうか。
そしてこのステンレスのお皿も味のうち。底浅の皿になみなみとよそられたビジュアルが美しい。
昔、たまにはムルギーランチ以外のカレーも食べてみようと思って何か頼んだことがあったのだけれど、まるで別のお店の料理のように味が違っていてビックリしたことがある。
それも良かったけど、やっぱりナイルレストランに来たらムルギーランチが一番かなと思った。オンリーワンの魅力がハンパない。
いまは三代目シェフが調理なさっているそうなので、色々頼んだらまた違った味に出会えるのかもしれない。
なんだか明るい気持ちになった。口から入るもの以外にもエネルギーがいっぱいあった感じ。食事ってお腹を満たすためだけじゃないもんねーと、改めて思った。
#銀座
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