太い屋台骨の上に築かれる華やかな味覚のグラデーション。
横浜サローネ2007。2年ぶりですかね。ワイン好きの女友達と3人で訪問しました。
「ワジョさんが今一番行きたいお店で、何かめちゃめちゃ美味しいものを食べましょう」と、和氣さんとめぐみさんに誘われ、反射的に出てきたのがサローネの名前でした。
まだ行ったことのないお店や、リピート率の高いお店は他にもあるけど、最近のサローネはどんな感じなのかなと気になっていたのです。
予約時間に訪れると、マネージャーの山下さんが出迎えてくれました。いやあ、素敵。山下さんの顔を見るだけで気分が上がります☆
高級感がありつつシックで落ち着く店内は、ますますこなれて穏やかな気の流れに満ちています。
本日のおまかせコースの内容はこちら。
チーズはEx chargeです。
序章〉A5サーロイン・メークイン・トリュフ
訪れ〉鰹・ナス・ビーツ
哲学〉鯛・タコ・ハマグリ
協奏〉リゾット・ペペローニ・ホタテ・ミント
郷土〉太刀魚・クルミ・ジェノベーゼ
味覚の濃縮〉海老・羊サルシッチャ・サフラン
組み合わせ〉リガテッリ・豚
対峙〉蝦夷鹿・炭・ブラックベリー
掴む〉手掴みで食べるチーズ ブリア サヴァラン スペキュロス
提案〉栗・ローズマリー・赤スグリ
プラットフォーム〉小菓子
カッフェ〉コーヒー
お!? 品数が増えてますよね。そのぶん少し価格も上がったかな。一皿分ぐらい値上がりして二皿ぐらい増えたかも。
量的なことよりも何よりも、料理の内容が飛躍的に進化してます!
ベーシックな屋台骨の太さはそのままに、華やかな祭りの度合いがますます高まった印象。ここでは毎日がサローネ祭りです。
記念日に来店する方が多い中、なんでもない日にこそわたしは行きたい。友人たちと気がねなくゆるゆるとおしゃべりするには、贅沢にして最高のシチュエーション。
友人たちはワインペアリングも頼み(わたしはいつもの炭酸水)、ますます心もトークも緩やかに弾みました。
序章のA5サーロインは、サローネの定番。何度食べても舌が舞い上がるほど美味しい。ほんの一口なんだけど、胃袋がバカッと開く。「美味しいディナーが始まったよ!」と、ウェルカム状態になります。
訪れる鰹は、もはや鰹であることを忘れるぐらいモダンにして美味。鰹にピスタチオがこんなに合うなんて。ナスの焦げ目がスモーキーで良いアクセント。
哲学する鯛は、テーブルに届いた途端に爽やかなオレンジの香りを発します。口に入れると、サッと風のようにオレンジが通り過ぎてゆき、白身の馥郁たる味と香りがドーンとやってきます。出汁を吸ったオリーブオイルをスプーンで掬って食べることの高揚感は例え難い。白身のみに終わらず、新鮮でプリプリのタコとハマグリが二番手で姿を現わす喜びもまた佳しです。
協奏のリゾットは、ひと匙ごとに味覚のグラデーションが描かれる傑作。ゴロンとしたホタテに当たるや、カリッとしたカボチャの種に踊り、ミントの香りにフワッと浮かれ、いくつものお料理を同時に味わっているような楽しさ。
郷土の太刀魚は、生のマッシュルームスライスが添えられ旨みダッシュ。太刀魚の中に挟み込まれたクルミソースと、器の底に潜むジェノベーゼソースが意外な瞬間に舌を捉え、何度も感動を与えてくれるお料理です。
味覚の濃縮たるところの羊サルシッチャは、本来はムール貝が登場するところを海老に代えていただきました。究極のワンスプーン。一口でこんなにいくつもの味の変化を楽しめることの驚き。体感的に長い時間にわたり味わっているように感じるのです。初っぱなパーンと爽やかな柑橘系の香りが弾け、突然サルシッチャの濃厚な旨みが押し寄せ、最終的にサフランの高貴な香りが口中を満たします。よく出来てるわ〜。
パスタはリガテッリ。牡蠣は抜いてもらい、豚とケールの味で。お皿が大きくてパスタが少なく見えるのですが、食べてみて実にちょうどいい量なのです。これがバランスの妙というものか。見た目の何倍も満足の到達度が高いパスタです。
対峙する蝦夷鹿は、炭とブラックベリーのソースを添えて。ナイフを入れる段階でもうフニフニの柔らかさ! 噛めば不思議なくらいの繊維のほぐれ具合。細田シェフに伺ったところ、仕込みと火入れにサローネならではの工夫が施されているのだそうです。内容も聞いたけど一応秘密にしておきます♪ それはずいぶんと手間がかかるけど確実に美味しいよねというプロセスでした。
手掴みで食べるチーズは、なるべくクセのないものをとお願いして、ブリア サヴァラン スペキュロスを選択。
チーズ偏愛家のサービスマン江川さんのセレクトです☆ おおお、さすが。リクエスト通り、クセはないけどレストランならではのベストな状態で食べてこそのチーズでした。めちゃめちゃ美味しい。ホールで食べたい。甘さ控えめで乳成分濃厚なレアチーズケーキの上にビスケットが乗っていて、そのビスケットがいい具合にしっとりとしてチーズに融合している感じ。
デザートは、栗・ローズマリー・赤スグリのケーキ。基本しっとりとした栗のケーキで、差し色的にローズマリーが良い働きっぷりを発揮。赤スグリが早くもクリスマスを予感させます。繊細で上質で、こちらもレストランで食べてこそのライブ感があるデザート。
食後の小菓子も気が抜けない展開。全く味の想像がつかない、亀のようなビジュアル。一口で頬張れば、今までのお料理の流れとはまた違った風の吹くオリエンタル&フルーティーな味わい。思わず沈黙してしばらく味わいました。
食後のコーヒーをいただきながら、今夜のディナーを振り返ります。
和氣さん&めぐみさん曰く、何しろすべての料理が文句なしに美味しいのが第一の素晴らしさ。結構な量を食べたはずなのにお腹が苦しくなくて爽やかな食後感。心は非常に満ち足りた。ワインペアリングも最高で、料理の美味しさが何倍にも増幅するのはもとより、ワイン選びに悩まずに十分な量を心ゆくまで堪能できてすべてが最高であったということです。
さすがサローネ♡ お連れした人にここまで言われたら、お店選びを任されたわたしも鼻高々です☆
ちょうど閉店近くの時間になり、他のお客さんたちもいなくなったところで、「細田シェフはなぜこんなに美味しいお料理をつくれるようになったのか?」という我々のアホみたいな質問に丁寧かつサプライズ満載のエピソードをまじえてお話してくださった細田さん、ありがとうございます!
もう既に大変な有名店だし、皆さんご存じと思いますが、改めてサローネは素晴らしい料理店だと再認識しました。なおも年々進化しています。
しばらくご無沙汰している方にも、まだいらしてない方にも、今のサローネをぜひ体験していただきたいと思いました。
手相カウンセラーワジョリーナのホームページはこちらです。
http://www.wajorina.com/
| 固定リンク