2017年7月8日にオープンしたばかりの、オステリアあんじゅ西麻布におじゃましました。
桜新町で和食店を営まれていた安住シェフと、自由が丘モンドを経て代官山ファロ出身の中澤シェフのお二人が開いた20席のお店です。今のところサービス担当の女性の方(お名前聞くの忘れた!)と3人で営業中。
場所は西麻布交差点から徒歩すぐ。うしごろ本店の左手側に回った場所。駅で言うと六本木だけど寧ろ渋谷からタクシーで千円ぐらい。5分で着きます。
18時から21時までは、おまかせA(8品9000円)またはおまかせB(4品4500円、追加アラカルト可能)の、どちらかを選ぶ時間帯。
21時から24時のオーダーはアラカルトのみという形式です。
わたしと、今日一緒に行った石田さんは中澤さんがモンドにいらした時代からの常連。あの中澤さんがお店を開くなら絶対美味しいと確信しての初訪問です。
西麻布のオステリアでカウンター席に座るなんておしゃれ過ぎて敷居が高い気がしてしまいますが、もともと中澤さんご自身がまっっったく気取らない優しい男性なので、こちらも身構えずに行くことができました。
安住さんとは初対面でしたが、職人的なひたむきさと新しい料理に挑戦し続ける柔軟さを併せ持つ静かなる才人という印象でした。
サービス担当の女性はとても気が利いて身のこなしが速やか。必要なときだけ姿を現し余計な気配はサッと消すニンジャのような方でした。かっこいい。
お席はカウンター席が中心で、安住シェフ側はL字型になっていて包丁を扱う調理を目の前で見ることができ、中澤シェフ側はピカピカの鉄板焼きの板と煮炊きする調理台が見渡せるお席。どちらもキッチンがフルオープンで面白い。
個人的にカウンター席は疲れやすい体質で本来苦手なんですが、あんじゅのカウンター席は全く疲れませんでした。
高過ぎなくて座り心地が良く座面の広い椅子。一人分で二人分ほどの奥行きがある大きなテーブル。清潔感があって明るい印象の銀杏の一枚板が、磨き上げられていてピッカピカ!
20席にしては余裕のあるレイアウトも心地よさのポイントかと思います。
半個室のテーブル席もありました。
ぱっと見非常にシンプルな内装なんですが、長居するうちに、ずいぶん丁寧に細かいところまで作り込まれていることに気づきます。細部にまで行き渡る美的精神が、この店の空気を作っているようです。
さて本日は9品のおまかせAを石田さんが予約しておいてくれました。
〈アミューズ〉
セロリと人参とちりめん山椒のサラダ
〈一皿目の前菜〉
ミシマオコゼ
鱧の身とたまご
のどぐろ
〈二皿目の前菜〉
山形牛のカルネサラーダ
白桃と豆腐の白和えミント添え
穴子とゴボウのフリッタータ
茨城産放し飼いの鴨肉
時鮭の低温マリネ塩レモンかけ
〈スープ〉
ザワークラウトのスープ チャバタ添え
〈パスタ〉
じゃがいものニョッキ アオリイカのラグーソース
〈お魚メイン〉
アイナメのソテー
〈お肉メイン〉
木下さんの近江牛ソテーと黒豚の白いんげん煮込み
〈デザート〉
ベリーの温かいソースに囲まれたチョコレートジェラート
〈カフェ〉
エスプレッソ
という構成です。
安住さんが、いつかはここの陶磁器で料理を出したいと願っていたという美しい和食器によそられてきます。それを利休箸でいただくわけです。
そういえば代官山ファロのお料理もイタリアンなのにお箸で食べたくなるなーと思ったらカトラリーの中にちゃんとお箸が用意されていましたね。
日本人であるわたしにとって、お箸というのは料理との心の距離感が近くなる最良のカトラリーです。
さていただきます。アミューズがいきなり和のテイスト全開。セロリと人参とちりめん山椒のサラダ。
セロリと人参がこれでもかというほど細く細く千切りになっています。野菜のえぐみはなく、シャキシャキというよりフワフワなぐらい心地良い食感。ツルッと乗せられたちりめん山椒が効果的。
そして全く以って器が美しい。手に持つと、人と握手しているような温もりを感じる。初対面とは思えない馴染み感。家にほしいなあ。でもきっと高いんだろうなあ。
一皿目の前菜は、ミシマオコゼ、鱧の身とたまご、のどぐろの三種盛り。
高級食材をサラッと出してきましたね。見た目以上に口に入れて高まる幸福感! すんごく美味しいです。温度、味、食感、全部違うものを相性良く出してくれて嬉しい。
二皿目の前菜は、山形牛のカルネサラーダ、白桃と豆腐の白和えミント添え、穴子とゴボウのフリッタータ、茨城産放し飼いの鴨肉、時鮭の低温マリネ塩レモンかけ。
なんですかね、この玉手箱のような輝き。大好物ばかり(♡∀♡) 一つ一つの食材に心が通っています。
聞いてみたら、すべての食材とドリンクは、二人のシェフご自身が料理人人生の中で出会った心から信頼の置けるものだけを使用しているそうです。なるほど食材からして人と人を介して伝わっているんですね。
奇遇にもお二人とも鳥取県のご出身なのだとか。鳥取県て美味しいものがたくさんあるんですね。お酒もとても美味しいそうです。(わたしは下戸)
鳥取県のものだけでなく、全国から選りすぐりの食材が西麻布に直送されています。
続いて今日のスープは、ザワークラウトのスープ チャバタ添え。
こちらは以前ファロでいただいたことがありました。ザワークラウトと聞くと酸っぱいイメージが湧きますが、ほんのり酸っぱくほっこりとした味でとても美味しいです。
添えられたパンは中澤さんの手作り。実は中澤さんはパンを作るのがものすごく上手で、ちょっと日本人離れした感覚だなあと良い意味で思うのです。センスとしか言いようがない。中澤さんのパン大好きです。
このあとリコッタチーズを出してくれました。良質のリコッタチーズはわたしの心を捉えて離さないデンジャラスな食べ物。こちらの品物は、北海道の共働学舎出身の方のチーズ工房(名前忘れてしまった)から取り寄せているそうです。
それはそれは美味しい。これ以上の品質のリコッタチーズがあるでしょうか。ないなー。もっと食べたい。また食べたい。
パスタは、じゃがいものニョッキ アオリイカのラグーソース。
アオリイカのラグーソース! 素晴らしい! アオリイカのシュクシュクした食感と、トマトとハーブの香り豊かなラグーソース。柔らかめでポッテリとしたニョッキ。すべてが良い。そしてこの器もほしい!
お魚メインは、アイナメのソテー。濃厚な魚介スープがひたひたに注がれています。
これはモンドで特別なときに出してくれる魚介スープではないかいな。超新鮮で高品質な魚介のカシラや内臓が大量に必要だから、あまり作れないはず。すごいものを出してくれてありがとう。しかも高価なアイナメをこんなに大きく切ってくれてありがとう。
お肉のメインは、木下さんの近江牛ソテーと黒豚の白いんげん煮込み。
木下さんという生産者の方は、いわゆる品評会向けの食肉の生産を敢えて辞し、木下家のご家族の感覚で本当に美味しいと思う牛肉を独自に生産なさっているんだそうです。
無理矢理サシを入れず、牛にとってストレスの少ない環境で育てているという牛のお肉は、驚くほどアタック感が強くて旨みが長く続きます。サシは適度に自然に入っていて、甘みも弾力もある。非常に生命力を感じるお肉。元気が出ますわ。
黒豚の煮込みもブルンブルンに柔らかく、白いんげんが豚の脂を中和してくれて、永遠に食べられそうなぐらい美味しかったです。
デザートはベリーの温かいソースに囲まれたチョコレートジェラート。こんなにおなかいっぱいなのに、いくらでも入ってしまう。甘酸っぱいソースが熱で和らげられ、ジェラートの冷たさが今宵の饗宴を涼やかに取りまとめてくれます。
シメのエスプレッソは、かわいいパッケージに入ったお砂糖をドバッと全部入れて飲むのが最高。良い香り。
すっかり長居をしてしまいました。中澤さんともたくさんお話できたし、美味しいものばかりでおなかがパンパンだし、気の置けない友人と心ゆくまでおしゃべりができて最高に楽しかった。石田さんと古典芸能の話に花が咲いてエキサイトしてしまった(笑)
素晴らしく高品質な食材を使って、こんなに美味しいお料理にしてくれて、美しい器も楽しめて、リラックスした雰囲気の中にいつまでもいられるなんて本当に幸せ。
それに、グループごとに出しているパスタの種類などお料理が違っていたことに気づきました。お客さんの好みや満腹加減を見ながら微妙に味付けや種類を変えているのだそうです。すごい気配り!
お会計も思ったより軽くて頭を下げたくなりました。お料理9000円+ドリンク代+コペルトで一万円台前半です。お酒をたんと召し上がったらもっと行くかな? 毎度下戸ですみません ( ̄▽ ̄;)
帰りはお店を出たらすぐにタクシーがたくさん走っていて便利ですね。深夜料金で明治神宮前駅まで行っても千円ぐらいでした。
ああ本当に楽しかった。圧倒的にお薦めのお店です。まだ7月だけど今年のMVP確実かな。また行きます。
#西麻布
手相カウンセラーワジョリーナのホームページはこちらです。
http://www.wajorina.com/