粒子レベルで美味しいこし餡。天狗に教わったレシピで一子相伝280周年。
圓八のあんころ餅をお取り寄せ。
グルメサイト系のネット記事で何度か見かけて、猛烈に気になっていたのです。こしあんファンとして、これは一度食べておきたいと。
圓八(えんぱち)は石川県では有名なお店で、本店をはじめ、圓八カフェ、売店、駅、空港など至るところで売っているようです。
1737年の創業で、今年で280周年。当主は代々村山圓八の名を継いでおり、昭和22年生まれの当代で11代目だそうです。お父さんもお祖父さんも孫も圓八さんなのか。すごいな。歌舞伎のお家みたい。
そもそも創業秘話がミステリアスなんてもんじゃない。
「元文二年の六月、村山家二世のあるじ四十二歳のとき。何を思ったのか、裏庭に羅漢柏の苗木を植え、『わが願いがかなうならこの苗木茂ろよ』と深く祈り、翌日の夕方、妻子を残して忽然と姿を消した。妻子は生活苦に悩まされたが、8月のある日の真夜中、妻の夢枕に天狗になった夫が立った。『吾は山城国鞍馬山にこもり天狗について修行している。そこでおまえに教えることがある。これこれの作り方で餅を餡に包み食べた者は無病延命、商売繁盛となろう』と告げて姿を消した。以来一子相伝にて二百五十余年。当家の庭には今も羅漢柏の木が茂り天狗の祠が鎮座している」
この説明書を書いたの30年前なんすかね? 今年で280年ですからね。
そんなわけで、天狗が教えてくれたレシピで今も作られています。
原材料は、砂糖、小豆、餅米、赤竹小豆、食塩、酵素。水は霊峰白山の伏流水。もち米はその水で育つ無農薬の契約栽培かぐらもちの餅米。小豆は北海道産。
餡を作るのに三日もかかるそうです。蒸して冷まして煮て蒸して砂糖液を加えて練ってという途方もない作業。天狗のこだわりハンパない。
確かに舌触りが普通のこし餡と違う。なめらかさを保ちつつ、非常に細かい粒子レベルで豆のホコホコ感が醸し出されている。小豆にまぜた砂糖液も独特で、白蜜のような蜂蜜のような天然の風味を感じる。
中のお餅はふっくら柔らかく、適度に弾力があり、キレが良い。柔らかいけど変にネバネバしてない。絶妙です。
竹皮で包まれた9個入りが370円。こちらは包まれる段階であんこが竹皮にはさまれてつぶれるため全部一体化しています。竹皮の香りがあんこにしみついている。古典的な風情です。
お箱入りは24粒で1080円。こちらはまん丸い状態で食べられます。わたしはこちらのほうが好きでした。竹皮の香りがしない分、物足りない人もいるのかもしれませんが、わたしは純粋にあんこの味を味わえるこちらが好みです。
お取り寄せは冷凍で届きます。4〜5時間室温で解凍すれば、中のお餅までやわやわになります。マイナス40度で急速冷凍してあり、解凍後は冷凍されていたとは全く気づかないレベルの生菓子になります。
ただし冷凍でも賞味期限1週間というのはタイトですね。もうちょっと長持ちすると使い勝手良いのですが。
ジェラートもあるんです。圓八のあんころを使った地元のマルガージェラートとのコラボレーション商品。6個2050円と、高級品の価格。一個340円です。
これも結構美味しかった。少し室温で放置してから食べると、甘さ控えめで滑らかなあんこの味のジェラートにスプーンが進みます。
底にお餅が一粒入っていて、サプライズ的な喜びを感じる。凍っていても硬くないです。
ジェラートという品名ですが、食品表示による種類別はアイスミルク。無脂乳固形分6.6%以上、乳脂肪分3.5%以上のクリーミーな味です。
ちょっと高いけどまた買いたいし、ギフトにも良さそう。
何日かかけて3種類やっと食べ終わりました。あんころ餅を解凍して食べるのが最初は億劫に感じましたが、きっちり4〜5時間後じゃなくても、10時間後でも15時間後でも何ら変わりなく美味しくいただけます。
夜寝る前に冷凍庫から出しておけば、翌日いつでもつまめる感じ。
赤福とよく比べられるようですが、全く別の物だと思います。赤福はひたすら滑らかでスルスルとしたあんこの美味しさと、ムッチリした大粒の餅のコンビネーションを楽しむもの。圓八は粒子レベルのこし餡の仕上がりにリスペクトを感じつつ中に隠れているお餅の控えめなアシストに喜びを感じるもの。どちらも偉大なるお菓子ですが、方向性も風味も似ていません。
圓八のあんころ餅は、普通ではない存在感があります。天狗が教えてくれたっていうのも本当かもしれないと、ふと思ってしまうロマンのあるお菓子ですね。
手相カウンセラーワジョリーナのホームページはこちらです。
http://www.wajorina.com/
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