大井町、丸八とんかつ店のヒレカツ定食。
永楽が行列待ちだったので、姉妹店の丸八へ。ラーメンとトンカツじゃ話が全然違うわけなんですが、心情的にこの2店には強いつながりがあるので問題ないのです。
大井町に来たら九割方、永楽に行くので丸八に行く機会は多くない。しかしながら子どもの頃からのなじみ感があり、一人で行っても家族で来た時代の懐かしさに包まれ気持ちが安らぐ。
「丸八に行くときはちゃんとしなさい」と親に言われたものだ。昔も今も特に高級店なわけではなく、むしろ庶民の店なのだけれど、両親の心の中に職人ならびに老舗の暖簾に対するリスペクトがあったのだと思う。
敬意を持って注文を。今日はヒレカツ定食をお願いいたします!
めちゃデカくてめちゃ分厚い大鍋に肉が投入される。待つ間、先に出るお新香をつまむ。あまり食べてしまうと、あとでトンカツと一緒に食べる分がなくなる。気をつけなくちゃ。
ライスと味噌汁が出されて、真ん中のスペースを空けて待つと、主役のトンカツがやってくる。
棒状ヒレの一本揚げ。ちょうどいい大きさだ。これでお茶碗2杯ほどのライスを食べたら腹十分目になる。
ここの上ロースは大き過ぎて難儀するが、並ロースは上ロースほどジューシーではないという葛藤がある。結果、上ロースを頼むことになり、腹十五分目ほどの苦しき快楽に溺れる。それもまた良し。
今日はヒレだから関係ないもんね。
このヒレカツは、昭和のお肉屋さんのヒレカツに近い。銘柄豚でもなんでもなく、普通に町のお肉屋さんで売ってる美味しいお肉。そのお肉を使って店頭で揚げたてを売ってくれた、あのヒレカツの味がする。
いまどきのトンカツの甘さとは相反する赤身の肉のみっちり感。黄身の色がはっきり見えるほど厚い衣のたまご層。パン粉はたっぷりと山のように振る。
火入れはかなり綿密。高めの温度で芯までガッツリ熱している。必然的に、衣もこんがりきつね色。
これがいいんじゃないかな。ヒレカツってこの味だよ。練り辛子と、少し甘めのソースをつけて、白いごはんと食べるのだ。さっき死守したお新香も一緒に食べましょう。
味噌汁はたまねぎとごぼうとにんじんで、少し甘めの白味噌。赤出汁じゃないのね。普通のお家のお味噌汁ふう。心に優しいです。
一杯目のライスを食べ終わると、「ごはんおかわりしますか?」と絶妙なタイミングで声かけられた。もちろんおかわりです。
一杯目よりも少しだけトンカツも冷めて、食べやすくなってきた。スピードアップしてすごい勢いで残り3切れのヒレカツとホカホカのライスを頬張った。
至福至福。思い残すところなし。
でもね、やっぱり上ロースのほうが美味しいのよね(笑)ヒレカツになんの文句もないけれど、次はやっぱり上ロースにしよう。