食べ仲間の川戸さんのお薦めで、六本木のオーグルマンに行きました。ちょうど六本木と神谷町の中間ぐらいです。飯倉片町交差点の先、キャンティが近くにあります。
感動的に肉料理が美味しいお店。プロボクシング元ミドル級1位、横崎哲さんがオーナーシェフ。ニコニコ顔のジェントルマンです。
「とにかく頭で考えないで笑顔で美味しく食べてもらえればそれが一番!」と仰る通りの、理屈抜きに美味しい料理のオンパレードでした♪
子どものとき、「わーい!お肉だ!」と純粋にお肉が美味しくて美味しくてたまらない気持ちでがっついた頃のような、非常にストレートな感動を味わえます。
コースは5775円、7350円、9450円の3コース。
今日の私たちは、7350円のディナーBコース(前菜2種、主菜、お任せチーズ、デザート、食後の飲み物)を頼みました。メニューの中からいくつか自分で選ぶ形。
私はつきだしの「本日のジビエのパテ」を食べた時点でもう、この店は繰り返し来ようと思った。味がしっかりしてるのに重くない。肉肉しい味が強く伝わる。丸いパンにつけて、夢中で食べてしまった。
これはグランドメニューにも出ているお料理。とてもつきだしとは思えない、しっかりした量が届いた。この心意気、いいなあ。
あとで聞いたら、お料理の量は事前にリクエストすればいかようにも対応可能とのこと。「次回は肉大盛りで」ともう頼んでおきました(笑) 大盛りなんて言わなくても、じゅうっっぶんな量なんですけどね!
内臓(胃袋、腸、豚足、豚耳)と野菜のスープ。
豚の小腸、胃袋、豚足、豚耳と、アンチョビの塩味、ドライトマト、バジルのしっかりした味わいのスープ。
これが相当美味しくて! まだ1月ですが、今年印象に残った料理として筆頭に上がりそう。内臓がとてもきれいに掃除してあり、重さはないのにモツモツしい味の濃さがしっかりとある。
野菜はみじん切りぐらいの大きさでカットしてあり、スープの味を非常に良くしている。一滴も残さず飲み干した。
全部すごかったけど、内臓のスープは特に心にヒットした。食べ進むうちに、体の中にエネルギーが漲り、明日への活力が湧いてくるのが体感的にわかった。あとでシェフにそう言ったら、「明日への活力が湧く料理」がお店のテーマの一つなんだと仰っていた。ビンゴじゃ!
トリュフとフォアグラのリゾットもまた絶品。
まず、トリュフのあまりの量に仰天しました!ちょっと厚みもあります。そして食べてますますびっくり。こんなに美味しいものを食べたらバチが当たるんじゃないかっていうぐらい美味しかった。
トリュフとフォアグラって、最強コンビじゃないですか。しかも、フォアグラもしっかりしたソテーが中に隠れてました。
川戸さんの前菜。
岩手広田の大粒牡蠣のマリネ、クスクス添え。
下に敷いてあるのはクスクスだそうです。牡蠣自体に良い味つけがほどよくしてあり、身もふっくらで大変美味しかったということでした。
こちらも川戸さんの前菜。
本日の岩手は広田漁港、米崎の牡蠣料理。
ここの産地の牡蠣が素晴らしいのだそうだ。私は牡蠣が食べられなくて残念。アレルギーなので。
私の主菜。
蝦夷鹿のロースト、黒胡椒の赤ワインソース。
イノシシもキジも気になったけど、赤いお肉をガツンと食べたくて、結局鹿にしました。
これを頼んで良かったー! とにかく美しく柔らかく、肉汁がきっちり閉じ込められていて、一滴も皿に出ない。ナイフで切っているだけで、「あれれっ?」と思うほどの柔らかさだ。
聞けば、低温の油でじっくりじっくり時間をかけてあたためているのだそうだ。そうかー、手間がかかっているなあ。
横崎シェフと色々話していると、「そんなに手間暇かけてこだわった料理ばかり出すなんて、一体どうやって時間を作っているんでしょう!?」と思った。実際、休みの日でもずっと料理のことを考えていて、ちょくちょく店に来ては仕込みをしているんだとか。
とてつもなく料理が好きで、心から接客が好きで、何よりご本人がものすごい食いしん坊なんだなと思った。食べるなら徹底的に美味しく食べたい!&食べさせたい!と思っていらっしゃるに違いない。そうじゃなきゃ、こんな料理は作れない。
川戸さんの主菜。
オーグルマンのカスレ。
少し味見させていただいた。色んな種類のお肉と豆が入っている煮込み料理。かなり美味しかった。こっちも頼みたかったなと思った! フレンチってこういうガッツリしたお料理も色々あるんだなあ。
お任せチーズの盛り合わせ3種。
クセがありすぎず食べやすいところを、ちょうどいい感じの適温で。少量でも心がすごく満たされる。
川戸さんが頼んだデザート。
タルトタタン。
これも少し味見させていただいた。極限まで甘みを抑えて、それでもリンゴの風味はあくまでも濃く強く、甘さも酸っぱさも口の中で刺さらないのに、すごい深い味わいが広がる。
ごく薄切りのリンゴをじっくりじっくり煮て、ミルフィーユのように重ねている。こんなタルトタタンは、ちょっと売ってるとこないんじゃないかと思う。
私が頼んだ和栗のモンブラン。この季節限り、一日限定4個!
すんごくフンワリフンワリしたクリームと栗のペーストが花びらを重ねるように優しく盛りつけてある。これはレストランで作りたてじゃないと食べられない。お客さんに持ち帰りを望まれても、家に帰るまでに溶けてしまうから渡せないと仰っていた。
もう〜、とろけそう〜。素晴らしい空気感です。真ん中に大ぶりの和栗がゴロンと入っています。この和栗が変に甘くしたりしていなくて、栗そのものの味がバーンと弾けるように感じられ、本当に美味しい。
食後のカフェを飲みながら、かなりシェフと話し込んでしまった(笑)とても面白い人。ナイスガイです。料理とサービスへのひたむきな情熱を、毎日のお客さんの喜びの笑顔を薪にして、くべ続けている人なんだなあと感じた。
六本木方面から行って、キャンティのカドを過ぎてその次のカドを曲がってすぐ。お店は二階。「焼き鳥どげん」の裏手です。
この人に会いたいし、この人の料理を食べたいから、またここに何度も来ようと思った。私にはほんのいくつか、そういうお店がある。そういうお店が一つ増えて、今日はとてもいい日だった。
横崎シェフ、たいへんごちそうさまでした。
誘ってくださった川戸さん、どうもありがとうございます(^^)また行きましょうね!