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2012.10.06

京都、村上開新堂のクッキー。

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8月中旬、京都に行ってきた。貴船神社さんの境内で行われた、河島アナムさんのライブを見るための小旅行。とてもいい時間だった。

ちょうどお盆休みシーズンということもあり、ホテルがなかなか取れなかった。珍しくツアーで申し込んで、やっとホテルオークラのシングルを確保。ここは場所も雰囲気もサービスも良かったな。またぜひ泊まりたいホテルの一つになった。

オークラのすぐ近くには、寺町という商店街がある。京都について著しく知識の少ない私には初耳だったけど、かなりの名店揃いエリアであるらしい。

何も下調べせずに行って、現地でtwitterで情報募集するというていたらく。「寺町には村上開新堂がありますよ」と、京都通のIGAさんが教えてくださった。あ、なんか聞いたことあるお店。そうか、池波正太郎御用達のお店だった。ならば行くしかあるまい。

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ばばーん! いきなりすごい風格。やってるのかどうかわからないぐらい照明が暗い。自動ドアではなく手動の手押しドア。右から左へ読む旧字体の看板。のっけから格調の高さを感じた。私なんかが入っていいのだろうか。入るけど。

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いやもう、中はとても「写真撮ってもいいですか」なんて聞くことさえできないぐらい文化財的な空間。かっこええなあ! しかし接客自体は丁寧で、少しも尊大なところはなかった。

ショーケースの中には、こちらのロシアンケーキがあった。これとオレンジゼリーだけは当日買える。名物のクッキーは予約制だ。

ロシアンケーキを買ってすぐ、近くの京都市役所前の広場で食べた。見たまんま。昔ながらの素朴で粉らしい粉の味だ。しっかり甘いけど上品。後味は意外とさっぱり。全部一気に食べてしまった。

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オレンジゼリー! 1個630円。すごーい。高級品だ。この高級品を、池波正太郎は京都に行くたび3個買って、すぐさま1個食べ、ホテルの窓の外に残りの2個を吊しておいて天然の冷蔵庫がわりにし、街中で飲んで帰ってきてからまた2個をペロリと食べたんだそうだ。くっそう、やるな池波オヤジ。

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本物のオレンジをくり抜き、中にゼリーがぎっしり詰めてある。ボヨンボヨンです。今どきないような寒天風の荒々しい弾力。酸味が少なく、オレンジそのものの甘みが凝縮されたような果実感。昔の人が一生懸命作った感じがする。人の手で、人の思いで。

この旧式な感じの仕上がりが、なんとも昭和で良いのである。今どき普通の、雑味を徹底的に抜いたクリアなオレンジゼリーとは別モノ。確実なインパクトが残る。舌だけでなく、心にも。郷愁とも情趣ともいえるこの味わいが、またこのオレンジゼリーを食べたいという衝動に向かわせるのだろう。

このオレンジゼリー、冬場は好事福慮(こうずふくろ)という名前になって、ますます美味しくなっちゃうんだそうだ。やばいー。

んでやっぱりクッキー詰め合わせは当日だと買えないっていうことなんで、代金を支払って宅急便の伝票に自分の住所を書いてきた。8月中旬現在、すぐ申し込むと10月には届く予定という話。

10月初旬のある日、何の予告もなくクロネコがニャーと届けに来てくれた。正味2ヶ月。この突然の贈り物感がサプライズでいい。本気で嬉しくなった。

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一筆の挨拶文とともに、クッキーの箱が届けられた。この包装紙のデザインもいいねー。

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銀色の包装紙の下は、水引のかかった白い熨斗紙だった。かっこいい。

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これが待ち焦がれた、村上開新堂のクッキー。詰め合わせ小のほう。4725円であります。

おおお、パリッとした焼き上がりだ。クッキーとビスケットの中間ぐらいのカリッとした硬さ。割と硬いのだけど、歯に触れるとペリンと軽く割れる。

ちょっと泉屋のクッキーに似てるなと思った。甘すぎなくてスイスイ食べられる。鼻にも舌にも歯にも、変にベタベタした感じが残らなくていい。品格があるな。よけいなものが入ってない清らかささえある。

店構えもそうだけど、このクッキー自体が文化財だなあ。いつまでもこのままであってほしい。

ちなみに東京の村上開新堂のクッキーは、紹介者がいないと買うことができない。ツテがないのでそっちは買えなかった。思いがけず、旅先で手に入って良かった。村上開新堂のクッキーは、死ぬまでに食べてみたいものリストに入っていたお菓子。念願叶って幸い。でもまだ死なないよ。小ざさの羊羹も食べてないしさ。

東京と京都のお店の関係は謎に包まれてるらしくて、検索してもよくわからなかった。ルーツは同じで、今は全く別の店ということになっているような雰囲気だった。写真で見ると、クッキーの見た目はとても似てる。

量産できないのは、昔ながらの窯で職人さんが勘でその日のクッキーを仕上げているからなのではないかなと思った。こういうタイプのお菓子は、窯自体の持つ味わいが命。新しい窯を追加してパートのおばちゃんがどんどん作るっていうわけにはいかないんじゃないのかなあ。いやいや、完全に妄想ですが。

まあ、待つ時間も楽しいし、突然の贈り物が届くのも嬉しい。2ヶ月なんてあっという間だ。

自分を幸せにしてあげたい人は、京都までひとっ走りしてこのクッキーを申し込んでくるのもいいかもよ〜。私の分もお願いしまっす(笑)

 

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コメント

うううう噂の村上開進堂のクッキー!!!
え!?京都のお店は紹介なしで買えるのですか!?
つか、京都にもあったのか・・・。

ブログ友達が東京のを紹介してもらって
買って食べたってブログで書いてて
うちょ~~ん!私も食べてみたい~~ん!
誰か紹介して~~~ん!
って思って早半年。
京都行けば買えるとわかってちょっとホッ、です。

みかんゼリーもめっちゃおいしそうですね~。
でも私は何より
その風情ある店舗と包装に感動しました。
京都へ行ったら絶対に行きたいです!

投稿: コトコト | 2012.10.06 21:56

コトコトしゃん
そうそう、京都で買えるとは!って私も行ってから気がつきました。
東京の村上開進堂を紹介してくれる人を探して
早何年!?て感じでした(笑)
包装紙もお店の雰囲気もいいよねー。
ぜひいらしてみてください(^^)

投稿: ワジョ | 2012.10.08 03:33

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