ミシュラン☆大森、天ぷら「いせ」。夜のおきまりコース。
地元、大森にまた名店を見つけました。
天ぷら「いせ」。JR大森駅からも、京浜急行大森海岸駅からも近い。近いけど大通りの一本裏手なので、少しだけわかりにくい。そんなロケーションも良い雰囲気。
ベルポートの向かいの、しゃぶしゃぶ木曽路の左奥ぐらいの位置。もつ鍋博多屋の真裏と言ったほうがわかりやすいかしら?
ネット情報によると、ご主人が丸ビルのお座敷天ぷら天政から独立して、このお店を開いたのが2007年のことだったそうだ。そして昨年2010年のミシュランガイドで星を獲得。
そんなお店がこんな近所にあるなんて気がつかなかった。母が「天ぷら食べたい」というので(年中言ってる)、ネットでお店を探していてたまたま見つけた。
平日の夜7時頃、入れるかどうか電話してみると、OKとのお返事。とても感じのいい対応に期待が高まる。
到着して、シュッとした店構えを見てまた安心。中に入ると、L字型の白木のカウンターに椅子が10席ほど。
先客のおじさまたちが「美味しいよ幸せだよビーム」を発しながら食事を楽しんでいらした。通人ぶった感じではなく、ざっくばらん。ミシュランなんていうと敷居が高い感じがするけど、普段着で来られるあたたかい雰囲気だった。
夜のコースは、5千円台、6千円台、8千円台の3つがあった。(正確に覚えてない。)量的な違いのようなので、真ん中をとって6500円の「柊コース」にした。
上の写真は、母がシメに頼んだかき揚げ天丼。なぜこの写真からかというと、先付けの写真がピンボケで、トップに出すにはしのびないため(笑) すんません・・・。
ほたるいかの沖漬け。いかがほわほわに柔らかくて、醤油が強めに利いているわりに当たりが柔らかくて、ひと味違うなーと唸る一品。
最初に来たのは、才巻海老の頭と、穴子の骨せんべい。塩で。
カラリと軽い。油ぎれが抜群にいいですね。このお店は当たりだと確信できた。
こちらのお店は、揚げ手がご主人一人で、奥さんがサービスをお手伝いされている。
ご主人が天ぷらを紙の上に乗せてくれると同時に、素材の名前と「塩で」「天つゆで」「お好みで」と、お薦めの食べ方を一言添えてくれる。
天ぷらを乗せる紙は、何品かごとに取り替えてくれるという気配り上手。気分がいいです。
天つゆはかなり量が多めにセットされてる。大根おろしの量も多め。大根おろしのすりおろしの目の粗さ加減がちょうどいい。辛みが控えめなのも私好み。
つゆ自体は甘辛の江戸風。いいね! こちとら江戸っ子よ。薄口醤油の透き通った天つゆは苦手なんでぃ!
才巻海老、2本。
うわー、サックサク。サクサクだけどガリガリではなくて、ふわっと軽い絹の薄衣を何枚か重ねてるような軽さ。そして素材と自然になじむ衣の一体感。
そうなんです、ここの天ぷらは衣が不思議とはがれない。と同時に、ボタッとしてなくてカラリと揚がっている。絶妙です。
それに、これから出てくる野菜も魚も、量が重すぎなくてちょうどいい。最後まで、揚げ物を食べたあとの苦しさに襲われることがなかった。
タラの芽。
全部産地も教えてくれたんだけど、すっかり忘れてしまってごめんなさい。
山菜、美味しいですねえ。この適量の衣を見てください!いい感じでしょう〜。穂先のほうがふわっと柔らかく、茎のほうがコリッと歯ごたえあり、ほろ苦い。まあタラの芽ってそういうものなんでしょうけど、その味の特長を最大限に引き出している。
身の厚い椎茸。
絶品〜〜〜! 塩をつけたり天つゆをつけたりしても、しいたけの味が負けない。しいたけのうまみが、最後までじんわりじんわり出てくる。
子持ちシャコ。
これはまた珍しいものを。味が濃くてムチムチ。いい味出してます。
こしあぶら。
こしあぶらというものを初めて食べた。美味しい!葉っぱが薄くて、茎に苦みがあって、なんとも言えない独特の味わいがある。今日食べた中でこれが一番強く印象に残った。
きす。
上等だなー。きすって淡泊な味のお魚だけど、良いきすはこんなに味が違うものなのかなと思った。上品でコクがある。塩でも天つゆでも最高。
そら豆。
串揚げになってんのですね。ふっくらポクポクに揚がったそら豆さん。不思議と一粒ずつ表情が違うように感じて楽しい。
若鮎。
すごーい。高級感。第一この見た目にやられた。美しい。完璧な形の若鮎。私が独り占めして良いのでしょうか。
頭から尻尾まで美味しく食べられる。内臓のほろ苦さが素晴らしい。もちろん骨は柔らかく、口に当たるところなく、身は引き締まり、白身魚の若々しい香りがする。とてもバランスがいい。
ふきのとう。
ほろ苦シリーズ。ああ美味しい。表面が実に薄く軽くサクサクで、クシュッと口の中で壊れる感じ。奥のほうから春の苦みがにじみ出す。
おしんこが届きました。
コース料理はシメのごはんもので終了ですという合図。
まだもうちょっと食べられそうだったんで、野菜を二種類追加した。
小茄子。
茄子をこんなに油っぽくなく軽やかに揚げるなんてニクラシイ。甘いわけではないのだけど、なんとなくフルーツのような果実感があった。
さつまいも。
こちらも端正です。これぞ江戸の粋。きめの細かいさつまいもを、柔らかく、でもポクポクすぎてしまう寸前で止める。ワザありですねー。
天ばら。
シメは海老、貝柱、三つ葉のかき揚げで、天丼、天茶、天ばらから選べる。
私は天ばらを、母は天丼を頼んだ。
天ばら、美味しいーーーーーーーーーー!
適度に塩が利いていて、かき揚げの衣の油がほんのちょっと白いごはんに絡んでいる。でもちゃんと、白いごはんなんです。油ごはんにはなってない。すごいです。ノックアウトされた。
先ほど届いたおしんこと、写真を取り忘れたしじみの赤出汁と一緒に食べる幸福感といったらもう。江戸の人間で良かった!べらぼうめ!やりやがったなコンチキショーーッ!ですよ(笑)
デザートは柚子のアイス。
爽やかだわ。今まで食べた天ぷらを打ち消してしまわないさっぱり感。
ご主人に、「どうして名前がいせなんですか?」と聞いたら、「故郷の茨城で、両親が同じ名前の天ぷら屋をやっているからなんです。伊勢出身だから?とよく聞かれるんですが、違うんですよ、すみません(^^)」と仰っていた。
そうなんだー。若いご主人が、気さくに話に応じてくれた。
そのあとの会話で、思わぬ私との共通点なども見つかり、身を乗り出すように話し込んでしまった(笑) 他のお客さんももう、お食事済んでいたからね。
なんだかとっても親しみを感じられた。仕事キッチリ、お話も和やかにしてくださり、私にとって最高ランクのお店。
それに、ディナーの天ぷらコースでこのお値段は、都心の真ん中あたりと較べたらかなりお値打ちなのでは? ランチは天丼900円、かき揚げ丼1000円、天ぷら定食1300円。
近所でこんな美味しい天ぷら屋さんが見つかって、本当に良かった。
一緒に行った母も、とても美味しかったと言っていた。うちの母は天ぷら中毒なので、きっとまたこちらへ伺うことも多くなると思う。
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