前項で触れたハタイクリニック。ここは自信を持ってお薦めできる素晴らしいクリニックです。日本のアーユルヴェーダの総本山と言えるでしょう。日本のアーユルヴェーダについてたどれば、必ずここに行き着きます。
院長の幡井勉先生は東邦大学医学部教授を経て、祐天寺のご自宅を改築してアーユルヴェーダのクリニックとスクールを作ってしまった伝説の人。91歳の現役医師です。
私はインド料理研究家の香取薫先生にこちらを紹介していただいて、かれこれ1年以上ここに通っている。最初の頃は月に3回ぐらい、今は月に2回ぐらい行っている。普通は月に一度ぐらい通う人が多いようだ。
思い返せば一年前の私は、今よりずっとボロボロの体だった。
まず、古傷の右膝が痛んで階段の上り下りが不安定。痛みもあり、膝がグラグラ揺れて、近いうち階段の上り下りができなくなるんじゃないかと思っていた。
頭はいつもパンパンで、脳が腫れているような感覚があった。
背中の痛みは習慣化していて、一日中ずっと「背中が痛い」と思っていた。
眠りは浅く、4~5時間で目が覚めてしまう。
その他もろもろ(笑) 今この文章を書くのに思い出してみたけど、すっかり忘れてしまうぐらい改善された。きっと、忘れている症状が他にもあったはず。体調が良くなって、前がどうだったかよく覚えていない。
初めて行ったとき、ハタイ先生に、今まで病院で処方されていたケミカルな薬の一部をやめて漢方薬に替えることを薦められた。正直言って、半信半疑に受け止めて、もし良くなかったら先生に内緒でケミカルに戻そうと思っていた。漢方薬なんて、ニガいしあんまり効かなさそうだと思っていたしね。
でもこれがとても良かった。体に負担が少なく、自然な循環を作る手助けをしてくれているのが体感的にわかった。結果的に全く問題がない。むしろ、漢方のほうが廉価で良い。月千円ぐらいしかかからない。ニガさも思ったほどではなかった。
そうしてかれこれ1年経過。
膝はもう全く痛みがなく、階段の上り下りも不安がなくなった。膝だけでなく、全身の関節部が動きやすくなり、安定感が出た。
頭はシロダーラをやってもらうと、脳みそを取り替えたんじゃないかと思うぐらいスッキリ軽くなる。シロダーラって、アーユルヴェーダで一番有名な施術かも? おでこに人肌ぐらいの温かいオイルを20分ぐらい垂らし続けてもらう。ハタイクリニックでは、状態により、ヘッドマッサージをしながらしてくれることが多い。
これはやってもらってる間も天国行きでガーガー寝てしまうし、その日の晩は深く熟睡できる。翌日からも頭のスッキリ加減はかなり続く。私は継続してシロダーラを受けているので、スッキリしている状態を持続できるようになってきた。
背中の痛みは、施術を初めて受けたその日にゴッソリ抜けた。これには本当にビックリした。今も疲れると背中は張るけれど、前みたいな頑固なかたまりはなくなった。
眠りは今も不安定になるときもあるのだけど、ハタイに行ってから一週間ぐらいは安定的に眠れる。平均睡眠時間も、前より少し長くなった。今は5~6時間ぐらい眠れる日が多い。
診療では、最近の体調のことや、食生活のこと、生活習慣のことなど、なんでも相談ができる。身近な食品で手軽にできる対処法を、惜しみなく教えてくれる。
私みたいにワガママな患者が、あれはやだこれはやだと言っても、必ず代替案を出してくれる。一人一人が無理なく実践できて、何より真の健康を手に入れるためアーユルヴェーダ治療を続けることがいやにならないように、全力で支えようとしてくれているのがわかる。
ただし、ラグジュアリー系のエステサロンとは方向性が違う。施術室もシンプルだし、施術者の方々は医療としての意識が強いプロ中のプロ。ここで行われるのはリラクゼーションというより、まさに本格的な治療なのだ。
リッチな気分のおもてなしを求める気分のときに行く場所ではないのかもしれないけれど、健康になりたいと心から願う人のことを、ものすごく強い愛で支えてくれる場所。皆さん笑顔でとても優しい人であると同時に、鍛練を重ねた厳しい人である。
もちろん私はラグジュアリー系のエステも大好きだから、そっちも行きますけど☆
診療はいつも脈診から始まる。そのときの体調や食べてるものがけっこうバレる。以前、施術中のとき、「高原のような場所に旅行に行きませんでしたか? そこで牛肉を食べましたよね。それが原因でここに痛みが出ているはずです」と言われてビックリしたことがある。旅行に行ったなんて何も言ってなかったのにバレバレ。そのときは私の体に牛肉が合わない時期だったらしく、しばらく牛肉を控えたら体調が良くなった。
先生の診療が終わったあとは、地下の施術室で、そのときの体調に応じた施術をしてもらう。
バスルームの手前でパンツ一丁になって、ベッドに上がる。私の場合、スパイスの粉とオイルをまぜて体をマッサージしてもらう「ウッツァーダナ」をしてもらうことが多い。体調により、オイルを抜いて粉だけの「ガルシャナ」をやってもらうときもある。
スパイスの粉は食用と同じなのだそうで、美味しそうな匂い。自分がタンドリーチキンになったような気分になれます(笑) でも最後にお風呂に入れるから、匂いが残って困るようなことはない。洗い残しがあると下着や服にスパイスの色が移ることがあるので、丁寧にシャワーを浴びるか、色が着いても困らない服で行くことをお薦めします。
施術は基本的に2人一組でやってくれて、手が空いている人がいるときは3人でやってくれるスペシャルサービスの日もときどき。皆さんの呼吸が抜群に合っていて、一人の人の腕が4本あるんじゃないかと思うほど! 指圧ほど強い力ではなく、かといって物足りないほどソフトでもなく、適度な強さでテンポ良くマッサージしてくれる。
その強さや時間的な配分は、こちらの反応を見て瞬時に加減してくれている。ストロークが長く、滝のように全身を押し流してくれる。
あとはやはり頭の疲れを抜く「シロダーラ」をしてもらったり、腰が痛いときは「カティバスティ」をしてもらったり、「ネトラ」で眼の疲れを取ってもらったり、あらゆる症状に対処してもらっている。
今までで一番高度かつヘビー級だった治療が「ナスヤ」。鼻からオイルを入れて口から排出する治療。これは上級者向け(笑) かなり涙が出て大変。でものちのち、鼻腔のまわりと脳のすみからすみまで、くまなくスッキリさせてくれる。脳にオイルがしみて効くんだよ~~~。スゴイよ~、これは。
施術が終わったら、ベッドと同じ部屋にあるお風呂に入れる。オイルとスパイスにまみれた髪の毛と体を洗い流す。ただし、体は石鹸をつけて洗ってはいけない。髪の毛だけはシャンプーで洗って良い。シャワーは水で浴びてはいけない。すべて、治療効果を最大にもたらすためだ。
私はいつも、シャンプーをしたあと、お湯を張った湯船にゆっくり5分ぐらい浸からせてもらう。それからあったかいシャワーで全身を洗い流し、持参したバスタオルで拭いて、ドライヤーで髪の毛を乾かす。
着替えの後、1階の待合室に戻り、スパイスのお茶をいただいて休憩。フルコースで約2時間。それで1万5千円~2万円ぐらい(内容によりけり)。毎回親身なカウンセリングがあり、2人一組による高度な治療を受けて、この値段ならコストパフォーマンス抜群だと思う。
前にそのことを聞いてみた。「こんな値段でやっていけるんですか?って、ときどき言われるんですけど、アーユルヴェーダを幅広い方々に継続して行ってもらいたいというハタイ先生の理念に基づいて、このようにしているんですよ」と施術者の方が仰っていた。頭が下がります。
私はハタイクリニックの帰り道、いつも「ああ、生まれ変わった~~~」と思いながら歩いている。どんな季節でも、風が心地よく感じる。健康であることは幸せなことなんだな。
皆さんに本気でお薦めします! ご予約なさる場合はお電話で、手相カウンセラーのワジョリーナの紹介と仰ってくださいね。手相カウンセラーって言わないとわからないかも・・・手相を見ているのは知られてるけど、いつも本名で呼ばれているので(笑)
電話番号、診療時間、アクセスはこちらのページに出ています。
施術メニューはこちらに出ていますが、基本的に先生が決めてくれるので何も考えずに行っていいと思います。当日は食事を抜いて行ったほうがいいみたいです。
完全予約制で、今は初診の人は月、火、木曜に限られているそうです。ハタイ先生がいらっしゃらない日は、若くてチャーミングな男性のコミネ先生が脈診してくださいます。
施術は月曜から土曜までで、日曜日も月に一度だけやっています。単発参加できるセルフマッサージ教室やインド式のお粥の作り方の講座なども開催しているようです。詳しくはお電話で聞いてみてください。