松江、和のオーベルジュ「皆美館」に宿泊。
松江駅からタクシーで皆美館へ。歩いたら大変そうだけど車ならあっという間。ワンメーターで着く。
ここは120年の歴史のある老舗。朝食の鯛めしが有名で、夕食の懐石料理も評判がいい。2007年にリニューアルしたばかりで客室もきれい。松江で一番の評価を得ている宿を探したら、ここだという結論に達した。
意外にも商店街の真ん中みたいな場所にあって驚いた。中に入ってしまえば湖のほとりの静かな旅館の雰囲気になるので問題はない。
ロビーラウンジでチェックイン。おしぼりと抹茶を出してくれた。お抹茶で一息ついたら、お部屋に案内してくれる。今夜のお部屋は3階の洋室ツイン「北堀」。基本的に一人で泊まる場合はこの部屋になるみたい。
このお部屋だけ湖が見えないということと、部屋付き露天風呂がないことがホームページに断り書きしてあった。
お部屋に入ると、横長のレイアウトで右側が浴室とトイレと洗面所。左側にベッド+リビングルームが広がっていた。けっこう広い。ホテルというよりデザイナーズマンションみたいな雰囲気。家具と部屋が一体化してスッキリしている。
一番に目を引かれたのが大型の液晶テレビとマランツのオーディオセット。アンプがPM4001でCDPがCD5001、スピーカーはDENONのトールボーイ型。ここまでちゃんとしたオーディオセットの置いてあるホテルのお部屋は初めてだなあ。音楽ファンにはたいへん嬉しいです!
「リピート機能を使いたいからCDのリモコン貸してください」と言ったら、すごい一生懸命探して持ってきてくれた。通常は使わないので倉庫の奧のほうにしまい込んであったらしい。すんません。助かりました。
音は良かったですよ。部屋がスッキリしてるから音が響きやすいですね。滞在中エンドレスでこのCDを聴いていました。最近超お気に入りのスパサウンド。極上です。
部屋に着くとすぐに、仲居さんがお茶菓子を持ってきてくれた。リビングのコーナーでゆっくりいただく。お茶を入れる道具類などもモダンなセンスで揃えてあって素敵。冷蔵庫の中のドリンクが安いのも嬉しい。
承知していたこととはいえ、窓の外が湖じゃないのが惜しいなあ。外は普通の商店街なのよね。ブラインドを下ろせば気にならないけど。
洗面所は間接照明の巨大なミラーのある大理石張りのおしゃれな作り。バスルームは一般家庭の広めのユニットバスみたいな感じだった。2階に共同浴場があるので、そちらを使うといい。
このお部屋も十分に素晴らしく、不満ではないけど、露天風呂つきで湖の見える客室だったらもっとどんなに良かったかな〜とどうしても思ってしまう。きっと較べたらそちらのほうがずっといい。
こちらのお宿のもう一つの自慢が、アメリカの専門誌選考の日本庭園ランキングで3年連続上位に選ばれたという白砂青松の庭。宍道湖を借景として樹齢200〜300年の松を15本あしらった枯山水だ。
レストランの外にあり、朝夕食を食べながらも眺められるし、頼めば庭に出ることもできる。
お食事しながらこの景色が見られるのは幸せです。竜安寺みたいに砂利が波状に整えられているの。
夕食の時間を8時にして、食事前に温泉に入ることにした。2階の共同浴場に行くと、ちょうど二人連れの先客が出たところだった。よかったー。このお風呂、洗い場が二つしかなくて、浴槽も2〜3人サイズなの。ほとんどの客室に露天風呂がついてるからだと思うけど、もしタイミングを外したら入りにくいかも。
外の景色は見えなくて、障子張り。とっても雰囲気は良くて癒される。少しだけ熱めのお湯で、ジーンと温まる。
お湯から出て身支度をして、1階のレストランに行った。カウンター席とテーブル席があり、私はカウンターの一番右側に通された。庭園側の特等席だ。樹齢300年の一番立派な松の木が目の前にある。
カウンターの向こう側はオープンキッチンになっていて、料理人さんが刺身を切ったり天ぷらを揚げたりしているのが全部見える。
料理人さんたちは意外と若く、見た目いい感じのお兄さんたちだった。そのうちの一人の人は今年の9月から銀座のお店で料理長になるんだそうだ。皆美館は日本橋や大阪などに料理屋さんを出しているのだ。銀座店は7丁目のライオンの裏手のワシントンホテルの並びに今作ってる東京ガスのビルに入るらしい。
今夜のメニューは、
食前酒 フルーツワイン
先付 芋蛸南瓜
前菜 旬の味覚盛り込み(サーモン、海老、魚、湯葉、空豆)
小鍋立て あご団子鍋(一人なのでお椀で供される)
造り 三品盛り(まぐろ大トロ、鯛、鰺)
焼物 鱸と貝柱グリル
焚だし 冬瓜青手蟹餡
強肴(メイン) 選べる三種類から「鱸のピリ辛唐揚げ」を選ぶ
食事 出雲蕎麦
デザート 枇杷、チーズケーキ、シャーベット
懐石料理ってあんまり食べたことないから、「へぇーこういうんだ」って感じ。常日頃「大盛り!」「ドンブリ!」「食べ放題!」みたいなものに慣れ親しんでいる私には異次元の世界。
美味しいと思ったけど、足りないから追加で卵焼きとごはんセット頼んじゃった。お刺身なんかすごく素材が良くて最高なんだけど、二倍の大きさなら良かったのにと思っちゃった。なんて無粋な私(笑)
強肴(メイン)は「和牛の冷しゃぶ」「若鶏のカレーソース」「鱸のピリ辛唐揚げ」から選べた。私はお昼にしゃぶしゃぶを死ぬほど食べたのでスズキを選んだんだけど、ここまで来てピリ辛ソースとかって選ぶべきじゃなかったかも。和牛が良かったかな〜。
追加で頼んだ卵焼きが一番好みだった。だし巻き卵を天ぷら風に揚げて、揚げ出し豆腐みたいに甘辛いタレに絡めてあるのよ。そこに大根おろし、かつおぶし、青しそ、レンコンの素揚げが乗ってんの。美味しかった。メニューに(2〜3名さま用)って書いてあったけど、一人でペロリと食べちゃった。
満腹になって部屋に帰る。もう一度シャワーを浴びて湯船に入り、寝る準備をする。大きめの足枕が気持ちいい。少し本を読んでいたら眠くなった。よく眠って起きて、8時半から朝食タイム。(朝食は7〜9時の間で指定できる)
朝食は「鯛めし」と「和食」から選べる。私は鯛めしを選んだ。湖に面した4人席に案内された。眺めがいい。
おのみもの 自家製緑野菜ヨーグルトジュース
温物 松江伊藤豆腐店 おぼろ豆腐
椀物 宍道湖七珍 大和蜆赤だし椀
焼物 サーモンの西京漬け 十六島のりわさび和え
冷し鉢 地元産野菜サラダ 皆美特製ノンオイルドレッシング
蓋物 茄子揚げびたし
食事 仁多米と奥出雲延命水で炊き上げたご飯と不昧公好み 家伝 鯛めし
香の物 五品盛り
そういうコース。最後に抹茶とお菓子も出てきた。
おぼろ豆腐は豆乳をコンロにかけて、その場でできたて豆腐を作ってくれるの。10分ぐらいで完成。アツアツで美味しい。
ごはんは土鍋に入って出てきた。茶わん3杯分ぐらいある。おこげがあっていい香り。少々やわらかめの炊きあがり。
このごはんを茶わんによそって、その上に鯛のそぼろ、卵の黄身の裏ごし、白身の裏ごし、大根おろし、わさび、ネギ、海苔を乗せて、出汁をかけて食べるのです。
意外と薄味? 上品で良いお味です。出汁は昆布出汁。濃厚な鰹だしに慣れてる私のような江戸の人は味を足したくなる。「オゥオゥ、醤油取っツくれ」みたいな。本当に下品だな私は。
結果的に香の物五品を鯛めしに投入して美味しくいただきました。この話は鯛めしが良くないというわけでは決してなくて、私が下品舌だという話ですのでお間違えなく。
色々と自分の身の丈にそぐわない部分はあったものの、トータルで考えて松江に泊まるならここにまた来たいと思った。タクシーの運転手さんに聞いても、松江で最高の宿はやっぱりここだとのお話だった。
つづく
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