日本一美味しいおでん。お茶の水「こなから」。
おでん研究家の新井由己さんに、おいしいおでん屋さんへ連れていってもらった。
新井さんは、かつて私がインド料理を習っていたキッチンスタジオ ペイズリーを主宰する香取薫先生の旦那さん。
あんまり人にお話したことないけど私、香取先生のところでインド料理を1年間習っていたんですよ。ペイズリーが今の場所じゃなくて、プールの隣のマンションだった頃にね。もう7〜8年ぐらい前になるのかなあ? 楽しかったわ、あのころ。
新井さん香取さんご夫妻は手相カウンセリングにいらしてくださったことがあり、そのとき「今度3人で美味しいもの食べに行きましょう」なんて言ってたのが実現して嬉しい。
御茶ノ水駅で待ち合わせて、トコトコ徒歩5分。聖橋の先の路地奧に光る赤提灯。古き良き日本の路地裏風景。隣のビルはオヤイデ電気の本社だった。オーディオファンの血が勝手に騒ぐ。
お稲荷さんの鳥居みたいに小さな門をひょいとくぐり、こなからの店内へ。靴を脱いで座敷に上がる。
全席カウンター。コの字型に座って20席で満席の店内。時間は18時からと20時からの二部制になっている。私たちは20時からの部。ぴっちり20名様、満席です。掘りごたつ式に脚を降ろせる。
中央にひょうたん型の銅鍋がドーンと鎮座し、ホカホカと湯気を上げている。この銅鍋、写真で見たことあるなあ。きっと雑誌で何度か見かけたんだと思う。有名なお店なんだな。
こなからの親父さんにも「先生」と呼ばれる新井さんは、親父さんの立ち位置に最も近いカウンター左端の席が指定席。(予約制で、全席店側から座席指定がある)
何しろ新井さんは、日本全国のおでんを食べ歩き尽くし、海外までもおでんの視察に飛び、おでん本の著作は4冊を数え、おでんの話題ともなればテレビでコメントし、おでんブームの立役者と呼ばれる存在なのだ。日本で一番おでんを食べている男であるらしい。スゴイ。
その新井さんが、最高においしいと太鼓判を押す、こなからのおでん。期待値120%!!
着席すると、自動的にお通し三品が出てくる。本日は、タコポン酢、菜っ葉とエノキのおひたし、冷製茶わん蒸し。いきなりうまい!! 衝撃的・・・。
タコポン酢はしっとり柔らかく、円味のある酢の味がふくよかにマッチ。おひたしは、出汁の味が格別。そうかー、この出汁で作るおでんだったら美味確実。あまり塩っけがないのに味がしっかり出てる。茶わん蒸しも、出汁が利いてて男前な味だ。本当に美味しい。この三品だけでも来た甲斐があったと思うぐらい。
続いてだし巻き卵。これも出汁の勝利。柔らかすぎずしっかり火が入ってるあたりが、江戸っ子っぽくて良い。(私は半熟でグズグズの卵が苦手なのだ。)味つけは超シンプル。出汁と塩だけかな? 勝負してるなぁ。完全勝利です。
さあ、次からおでんに行きますよ! ここの店のおでんは、すべて材料から手作りの完全オリジナルなのだそうだ。二階の仕込み場で支店(新丸ビル店)の分まで全部作っているらしい。こんにゃくも、はんぺんも、ちくわぶも、全部こなからスタイル。そして全品300円。わかりやすい。
最初に頼んだ三品は、だいこん、いわしつみれ、とうふ。美味しい〜〜〜〜〜〜〜!!
やっぱり出汁が、ただごとではない。椎茸、鰹節、鯖節、昆布で出汁を取り、塩だけで味つけをしているのだそうだ。バランスの良いこなれた味。こなれているのに全くボンヤリした感じではなく、加減の良い塩がキリリと味の屋台骨を支えている。職人技だねぇ。
だいこんは面取りをしたあとにヤスリでもかけたのか?と思うほどスベスベの肌。根菜らしいシャキッとしたところを残すような、ほどよい柔らかさが粋でいい。こんなに丁寧に大根を調理できるものなのか。並じゃない。小さいひょうたん型にくりぬいたチビッコ大根が上に乗っていてかわいらしい。
いわしつみれは、全く臭みがなく、うまみが濃い。人の手で擂って作られた手加減が伝わってくる。仕事が丁寧だなあ。よく噛んで食べないと申し訳ないと思わせる味。
続いては、白ずいき、ちくわぶ、たまご、はんぺん。ドッヒー! このたまご、絶品! 黄身が濃ゆい〜〜〜。最初に囓ったときはポクポクしていて、噛んでいるとコシのある粘りけが出てくる。鼻から抜ける香りが素晴らしい。漢方薬草を与えた国産地鶏から生まれたたまごだと書いてあった。
この卵の味が脳裏に焼き付いて、私はその後数日、卵中毒になった。この至福の時を再現しようと、ゆで卵ばかり食べていた。再現出来るわけないんだけどね。記憶の断片をたぐり寄せたいのさ。
はんぺんがこれまた! これが本物のはんぺんなんだと教えてくれる味。次元が違う。気泡をたっぷり含ませ柔らかく丸められていて、口にするとシュッと溶ける。溶ける瞬間、本当に上品な魚の香りがふわっと鼻をかすめる。
ここでまぐろの山かけを食べる。写真撮るの忘れた。
次は、鶏スパイスつくね、ごぼう天、こぶ、きくらげ。鶏スパイスつくね、肉好きにはたまらない味。おでんぽくない、スパイシーで現代的な味。それがなぜか、正統派のだし汁にぴったり合っている。
ごぼう天は、極太のごぼうに、美味しい擂り身がツッと薄くくっついている。ごぼうの芯まで出汁がじっくり染みていて最高。
きくらげは、プリップリッと口の中で跳ねて踊るような食感が楽しい。きくらげとはこんなに美味しいものだったのか。この店でしか出会えない味の一つ。
親父さんが私の顔を見て、「酢の物は苦手だね?」と突然言った。「あ、はい、どちらかというと苦手で」と答える。「やっぱりね、顔を見りゃわかるんだよ」と笑顔。そのあとじゅんさいが、出汁仕立てで出てきた。本当は酢の物にするところを、私のために出汁仕立てにしてくれたみたいだ。ここまで気を使ってくれるとは!
そして次に、椎茸しんじょう、糸こんにゃく、おこげさん。おこげさんは、こなからの創作おでん。玄米と金芽米ともち米をまぜて、焼きおにぎり風にしたもの。よく見なかったけど、しその実が入っていたのかな? それが風味の良いアクセントになっていた。こんな変わり種も、研究に研究を重ねた成果ゆえか、オーソドックスなおでん種に負けない存在感を放っている。
たくあんで少々箸休め。ミョウガを散らした盛りつけが美しい。
まだまだおでん行きます! げそ天、ちくわぶ、きくらげ。げそ天はげその柔らかさに感嘆。ちくわぶも弾力が適度で美味。
おでんラストは、創作おでん、あんこ玉さん。デザートってところだわね。あんこっていうほど甘くはない。ほんのり薄い甘さ。小豆の味が生きてて美味しい。
いや〜〜、食べた食べた。おなかパンパン。これだけ美味しいものを、これだけおなかいっぱい食べたら、もう帰り道で死んでもいいね(笑) たいへんごちそうさまでした!
新井さんのブログにもあるように、今年の秋頃には南青山に3号店ができるようです。これはっ!! ボイトレのあとにおでんか!?
それにしてもさ〜、新井さんの写真はさすがに上手すぎる。プロだから当たり前なんだけど、私の写真と差がありすぎだよ・・・。お恥ずかしいです。ニャハハ! またどっか連れてってくださいね〜。新井さん、香取さん。ありがとうございました!
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コメント
やっほー、ワジョさん。
美味しかったよねえ~~~。
夏は比較的予約が取り易いので狙い目よ。
あの店はお料理は勿論最高なんだけど、働いてる人たちも最高なのよね。
確実に満足して幸せになれるお店です。
投稿: 香取 | 2007.07.16 12:36
きゃー!私も一度行ってから、恋焦がれてます、あのおでんに!
私が行ったときは、牡蠣のおでんというのがあって、出汁がかかっているもので、おでん以外のとてもとてもおいしかったです。時々写メみて思い出してました!
あんこだまさんも、ちょっと甘くていい感じですよね。ちょっと、ちょっと口を甘くしてみたいのって感じです。
あの、お父さんも職人なのに、お酒飲んじゃってて、かわいいのに、皮のダウンを素敵に着こなしていて、下町ダンディで、何かを極めてる感が、赤ら顔からも感じられました~。また食べたくなっちゃったなぁ。
投稿: 古谷亜子 | 2007.07.16 22:14
香取さん
キャー! 先日はどうもありがとうございました!!
そうそう、親父さんをはじめ、皆さんとても素敵でした。
またご一緒させてください(^^)
古谷亜子さん
亜子さんもいらしたんですね!
ほんと美味しいですよねーー。
私も写真を見て回想しています(笑)
投稿: ワジョリーナ | 2007.07.20 03:14