池ノ上のギャラリーにて。中谷日出子展「コンタクトリ」
私のこのブログに頻出する「友人ひでっち」という人物に関しては、「男なのか女なのか」「ワジョの彼氏なのではないか」「職業は何なのか」「この前一緒にいたあの人なのか」など、さまざまな推測がなされてきた。
ときどきお客さまに「彼氏なんですか?」と聞かれたりもする。「友人ひでっちです」と、人に紹介する機会があると、「あっ、ブログによく出てくる人ですね!!」といった反応が見られたり。おもろい。有名人やな、ひでっち。
あえて素性を説明せず、そんなふうに色んな解釈されるのって楽しい♪なんて呑気に思ってたのだが、ついに正体を明かすときがきた。
ひでっちとは、現代HEIGHTSで開催中の展覧会「コンタクトリ」の作家、中谷日出子さんです。
長年クリエイターとして活躍してきた彼女だが、絵を描く作家としては初めての個展だ。自分で都内のギャラリーめぐりをして、「ここだ!」とピーンときた現代HEIGHTSで話が決まり、個展を開くことになったのだそうだ。こういうのも巡り合わせだね。
ひでっちが選んだギャラリーは、さすがに個性的で面白いところだった。京王線池ノ上駅から徒歩4分。改札を出て、お米屋さんや昭和信用金庫のある商店街をまっすぐ歩いて左側。1本道で、わかりやすい。
普通の一軒家を改装した佇まいは、笹塚カフェKI-NOを思い出させる。店内の一番奥がギャラリーで、手前にCDショップとカフェと、ボックスギャラリーがある。このカフェがなかなかしゃれていて、メニューも充実している。私は行く前からホームページのカフェメニューを熟読。食べたい物がありすぎて困った。どれもこれも美味しそう。
結局ひでっちの意見も加味して、ワイルドベーコンのナポリタンにした。美味しい! 正解! このベーコンはすごいな。本当にワイルドで肉らしい肉の味がするよ。ベーコンの出汁が利いててナポリタン全体にコクが出てる。このベーコンはお店の自慢の特選素材なんだそうだ。
「目玉焼きのせワイルドベーコンドン」も気になるなあ。こんど下北沢に行ったとき、食べに寄ろうかな。ここは下北沢駅からも歩いて10分ぐらいなんだそうだ。地図で見ると、スズナリの裏のほうね。
食べ物の話から先に入っちゃったわ。肝心の展覧会のほう、もちろんじっくり見ましたよ。「コンタクトリ」って、コンタクトと鳥を合わせた言葉なんだって。ひでっちが自分で考えた造語。この人はやっぱり面白いセンスしてる。
ひでっちさんの絵は、今までずっとお家で見せてもらってきた。習作は画用紙に水彩だった。今回展示されているのは、すべてキャンバス作品。「おお、ひでっち。ここまできたんだね」と、感慨深い思いが湧いた。芸術に答えはないけれど、彼女にとってのひとつの答えがここに顕わになったのだなと思った。そして、私には何の権限もないのだが、「これでいいんだ」と思った。
彼女の作品は、言ってみれば抽象画なんだが、いつも私は「たましいがどこかで見てきた風景だな」と感じる。
それは彼女の睡眠中であったり、思索中であったり、お散歩中であったり、瞑想中であったり、そしてもちろん絵筆を握っている最中にも、彼女は今この世の人々が現実と認識している以外の次元や空間の景色を見たり感じたりして、それを写し取っているんじゃないかと思う。次元も空間も時間も何もかも超越しちゃってるんである。
絵の前に立ち、全体を見ると、絵が実際の大きさ以上に膨張して見える。いわば3Dな感じ。でも全然コンピュータグラフィックス的な3Dの技法は使われていない。完全な手作業で、アナログな作品だ。
でもだからこそ感じるのかもしれない。この生々しい時空のよじれ。心地よい異次元への旅。外へ向かうのみならず、ときには胎内にまで帰着させる。おかしな絵を描く娘だ。
私がこの展覧会を見て感じたことは、「世の中は目に見えるモノだけがすべてではない。何げないどこかや誰かを媒介に、大きな時空につながっている。そこにはあらゆる波長が存在し、神も悪魔も共存している。それゆえに人間界の出来事は、奇跡も道理も日常も、すべて隠し立てはできない」ということだ。何言ってんのかわかんない〜と思いますか? ひでっちの絵を見れば、この感覚がわかりますよぅー、きっと。たぶん・・・。私が変なだけだったらごめん。
ひでっちは、めっちゃ気さくで面白い人です。全然気取った人じゃないし、心根が純粋で優しい。そしてユニーク! 会期中、ほとんど毎日ギャラリーにいるそうです。ぜひ話しかけてみてください。感想を一言でも言ってあげると、すっごく喜ぶと思います。感激屋さんなんですよ。私の友だちを、どうぞよろしくお願いします。10月31日(火)までです。
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