3日目は鼻水がつまって6時に目が覚めた。ぐるじい。この苦しさをスッキリさせようと、部屋の温泉に入った。外は雪だった。北海道の雪はデカい。ボタボタ降ってくる。「寒い〜」と言いながら浴槽に入る瞬間の喜び! たまらにゃいす。この雪景色はお風呂場からの眺め。
ふと気づくと9時になっていた。気持ちよすぎて浴槽で3時間も寝てしまったのだ。危ないなー。そんなていたらくの私を、ジャーマネは寝室から見守ってくれていたらしい。優しいジャーマネ。うっうっ。
浴室はガラス張りなので寝室から丸見えなのだ。一応、カーテンがあるから見えないようにもできるんだけどね。カーテン閉めると部屋が暗くなるから開けてたんだ。
このホテルの温泉は掘り起こしてから相当年月も経っているはずなのに、今でも成分が濃くてお肌がしっとりする。湯ざわり柔らか。とても泉質がいい。蛇口をひねると新鮮な温泉がジャバジャバ出るなんて、何よりの贅沢ですな!! スパツイン最高!!
温泉から上がり、午前中は自由時間でホテルでダラダラするつもりだったが、どうにも風邪が悪化しているとしか思えないので、病院に行くことにした。フロントで内科を教えてもらい、たかちゃんのクルマで送ってもらった。
この病院で、2時間も待たされるとは・・・orz.... 待合室で熱を計ったら38度だった。本当に!? たぶん温泉であったまったせいだよ。そう思いたい。
ジャーマネに「熱が38度出た! 前世療法はできればキャンセルしたいです」とメールした。前日、たかちゃんの知り合いの人に紹介してもらったセラピストの人に電話して、前世療法の予約をしていたのだ。こんな鼻水と咳じゃ話ができないし、頭がボーッとしすぎてて前世だか幻想だか、わかんなくなりそうだ。
ジャーマネから「その人のエステで熱を引かせることもできるそうよ」と返事をもらった。そんなこともできる人なんだ。すごいな。前世療法からエステにチェンジしてもらうことにした。
しっかしダルい。もうダメだ。看護士さんに「具合が悪いので帰ります」と言おうかと思った寸前、名前を呼ばれた。
医師による診断は、「インフルエンザっぽいけどインフルエンザはあんまり流行ってないしインフルエンザじゃなければ風邪ですね」との結論だった。要するにただの風邪。隣の薬局で風邪薬をもらい、 まりもタクシーでホテルに帰る。
「なんかもうダメだ倒れるぅ」と思ったが、とりあえず時計が12時を指しているので反射的にレストランに入った。鼻がつまっていて匂いがよくわからない。きっと味もわからないだろう。
本当は和風ステーキランチが食べたかったが、もったいないからハヤシライスにした。「十勝牛たっぷりハヤシライス」と書いてあった。お味は? わかりません。十勝牛よりタケノコが多かった気がする。わかんないけど。
部屋に戻り、セラピストの藤森さんを待つ。藤森さんは、六花亭本店の裏の裏の道沿いのお宅で、ピオというサロンをなさっている女性だ。私より10歳ぐらい年上かな? お一人でボディのオイルテラピーと、前世療法やインナーチャイルドヒーリングなどの心のセラピーと、両方ともなさっているんだそうだ。スペシャリストだね。
部屋にいらっしゃるとすぐに、小さな包みをあけて「さっそくですけど、どうぞ〜」と勧めてくれた。「今日は誰かゴマシオが食べたいのかな?と思って」って、小さなゴマシオおにぎりが6個も。あ〜、それは間違いなく私です。「私ってゴマシオが好きなのかも。机の上に常備しとこうかな」と、ここのところ毎日考え続けていたのだ。藤森さん、おかしい。ナイスセンス。
私は私の身にこの前起きた悲しい出来事の根本的な要因を知りたくて、前世療法を選んだのだが、オイルテラピーを受けながら「光の言葉セラピー」を同時進行でやっていただいてしまった。結果的にこれでよかった。
藤森さんのオイルテラピーは、パンツ一丁になって全身をくまなくマッサージしていただける。それがなんだか不思議な感じで、揉まれているのに自分の体がここにないような、体を取り外してメンテナンスしてもらっているような、体験したことのない感覚のマッサージなのだ。
肉の体を揉まれているだけではない「何か」が起きているに違いない。どこの部位をどれぐらい揉んでもらったという記憶さえ飛んでしまっている。これは風邪のせいだけじゃないと思うんだよね。
私は背中の左脇と、胸の中心に、常駐する痛みがある。長い年月ずっと解決してこなかった痛みだ。背中と胸にその痛みがあることを指摘され、その痛みとの対話をエスコートしていただいた。それが「光の言葉セラピー」だ。
なぜそこに痛みがあるのか、正体は何なのか、そこにある必要があるのか、必要がなければどうすると消えてもらえるのか。そういったことを、ひとつひとつ丁寧に解きほぐしてくれる。痛みが人格を持って語り出して、ビックリした。
話し合いによって、痛みは私の体から出て行った。今はその痛みの形跡が、在りし日の痛みを懐かしんでいる感じだ。正直言って、きれいさっぱり消えたというより、そこに痛みが在ったことをまだ覚えているという感覚のほうが強い。だって20年以上あった痛みだからね・・・。しかし芯のある痛みは消えている。本当にどこかに出て行ってくれたのかな。だとしたら奇跡だ。
胸の痛みのほうは、名字まで持っていて、厄介な性格をしていて、これまた驚いた。聞いたこともない名字だった。こちらが知らない相手でも、波長の合ってしまった霊的存在がフッと入ってしまうことがあるんだそうだ。それは私にもよくわかる。
全部で2時間半あまりもセラピーしていただいた。私のあと、たかちゃんがやっていただいている間、ベッドで爆睡してしまった。深く深く、健やかな眠りだった。こんなふうに安心した気分で眠れたのは何ヶ月ぶりかな? ここのところ毎晩うなされていたが、この日からうなされなくなった。大きな安心感が胸に宿ったようだ。藤森さん、ありがとうございました。
咳き込んで目が覚めたら、藤森さんはもうお帰りになっていた。さっきのだるさはもう全然ない。熱っぽさが消えている。たかちゃんに「ワジョ、顔がすごく元気になってるよ。別人みたい」と言われた。鏡を見たら、目がパッチリ開いていて本当に別人みたいだった。こんな元気なワジョリンを見るのは久しぶりだね〜。
すっかり元気になった私は夕食を食べに行こうと言った。この前テレビで彦摩呂がレポートしていた、北の屋台「農屋(みのりや)」のビフトロ丼をリクエスト。大樹町の夢がいっぱい牧場で生産された牛肉に、西洋ワサビ、海苔、シソ、特製しょうゆダレをまぜて、白米の熱でお肉をとろかせながら食べるっていうメニュー。凍ってて棒状にスライスされたお肉が、食べてるうちにトロっととけてくるのですわ。
牛乳をかためて作った「あすなろ豆腐の冷や奴」と「ハンバーグ」もオーダー。しかし大変残念ながら、鼻がつまっていて味がよくわからなかった。たかちゃん、ごめんよ。私があのときずっと黙っていたのは、そういうわけだったんだよ。ダハ!!
そしてそんなに味がわからないのに、六花亭でデザートのケーキを2個も買って帰る。私ってどうしようもない人ですね。改めてそう思いました。
部屋に戻り、「オーラの泉スペシャル」を見る。風邪薬の副作用で猛烈に眠くなる。たかちゃんに「わじょー、ビデオに録ってあるなら寝なさい」と何度も言われるが、「見てるよ!!」と口答えする私。
とりあえず番組が終了するのを見届けて、ヌッと起きて大浴場へ行く(やっぱり寝てたんじゃん)。部屋のお風呂も最高だけど、せっかく大浴場があるんだから一度は行かないとね。
北海道ホテルの大浴場は、岩造りの露天風呂と、内風呂のジャグジー、温泉浴槽、座湯、水風呂、ドライサウナがある。水風呂以外は全部モール温泉だ。カランは8つ程度と少なめ。9時過ぎに行ったら誰もいなかった。ほぼ貸し切りだ。露天風呂が真っ暗で、なんとなく怖いけど落ち着く。いずれもモール温泉のぬくぬくした湯ざわりが楽しめた。
大浴場も堪能して、リラックスはクライマックスを迎えた。12時過ぎには、コテッと眠った。なんて健康的なんだろう。おやすみなさい。
(つづく)